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00:00今恐竜が姿を消した時以来の大量絶滅が起きています
00:24毎年数え切れないほどの種が失われているのです
00:29生態系にとって重要な生物を取り戻さなければなりません
00:36先端技術が絶滅死を復活させようとしています
00:41サイは私たちの助けを必要としています
00:46死んだ動物のDNAをよみがえらせるのです
00:53誰が何のために資金を出しているのでしょうか
00:57研究は世界中で急速に進んでいます
01:02目標は2028年までにマンモスの子供を作ることです
01:08パンドラの箱を開けたら何が出てくるか分かりません
01:13地球上で最後のキタシロサイ ナジンと娘のファトゥー
01:33キタシロサイは角目当ての密漁によって絶滅に追い込まれています
01:402頭のメスはフェンスに囲われたケニアの自然保護区で常に警護されています
01:48野生には近い種の南シロサイがいますが
01:53体格や角の形などが異なります
01:56キタシロサイの最後のオスは2018年に死亡したため
02:04子供が生まれる可能性はありません
02:07ナジンとファトゥーが死んだ時
02:11一つの種が絶滅することになります
02:14もはや打つ手はないはずでした
02:18しかしベルリンの研究者たちは諦めていません
02:24ドイツの国立研究機関ライプニッツ動物園野生動物研究所は
02:31国際的な科学プロジェクトバイオレスキューを主導
02:35その一環として生殖医療の専門家トーマス・ヒルデ・ブラントは
02:41キタシロサイの絶滅を阻止するための研究を率いています
02:45キタシロサイのような大型の哺乳類を絶滅から救うとなると
02:51解決がほぼ不可能な問題にぶつかります
02:54全く新しいアプローチが必要です
02:59この冷凍保存室には
03:01数十年かけて集めた300の絶滅危惧種の組織散布
03:05精子や卵子などが保管されています
03:08いわば冷凍動物園です
03:11マイナス193度の液体窒素の中で冬眠状態になった細胞を
03:17必要に応じて解凍します
03:19この中には動物園や保護区で死んだオスのキタシロサイ4頭の精子も含まれています
03:27キタシロサイを絶滅の危機から救うためには欠かせない重要な細胞です
03:34計画ではケニアにいるメスのナジンとパトゥから卵子を採取し
03:48保存してあるキタシロサイのオスの精子と体外受精させます
03:53培養液の中でハイを育てた後
03:56近い種の南シロサイのメスに移植します
04:01代理母の子宮の中で成長した胎児は16ヶ月後に誕生します
04:10生まれたらできるだけ早くファトゥかナジンの下で育てる必要があります
04:22この実験には特別な意義があります
04:28サイは生態系を維持するために大きな役割を果たすキーストーン種で生態系の上位に位置します
04:37生態系を修復し地球を元の状態にするためには
04:42キーストーン種を復活させることが非常に重要なんです
04:472019年ヒルデブラントはケニアで計画を実行に移しました
04:59オルペジェタ自然保護区で獣医が卵子を採取する準備を始めます
05:06時間との戦いです
05:10生まれた子供はこの最後の2頭が生きているうちにその行動を学習しなければいけません
05:182頭のメスはもう子供を産むことはできません
05:241989年生まれのナジンは子宮に腫瘍があり
05:292000年生まれの娘ファトゥーは後ろ足を怪我しています
05:34しかしまだ卵子は健康です
05:37何百キロもの機材が飛行機で運び込まれました
05:42メンバーは動物園で今回に近い工程を行い経験を積んでいます
05:47しかしアフリカの保護区で暮らす動物が卵子の採取にどう反応するかは分かりません
05:54サイは保護区スタッフの声で落ち着き誘導されるまま囲いの中に入りました
06:09卵子の採取は屋外で行われます
06:20イタリアパドバ大学の生命倫理学者バーバラ・ドゥモリは動物福祉の観点からチームに助言しルールが守られるよう監督しています
06:35今回の倫理的評価で重要なのは私のような動物福祉の専門家と科学者が協力関係にあることです
06:48これが保護活動の基本にもなりますから双方が協力して良い結果を生むことが大切なんです
06:55ファトゥに麻酔をかけ心拍数と呼吸をモニターします
07:01メスのサイの生殖器は迷路のように複雑で卵子の採取はサイに危険を及ぼす恐れがあります
07:10チームは超音波の装置を使って注意深く進めます
07:16採取された卵子の状態はいいようです
07:31ファトゥにも異常はありません
07:33卵子はイタリアの研究機関に運ばれます
07:40シロサイの場合は生息地が失われたわけではないので
07:44密漁がなければ絶滅の危機に瀕することはなかったはずです
07:48多くの種は人間の影響で本来より何千倍も早いペースで絶滅していると考えられています
08:07これまでに大量絶滅は5回起きています
08:12最初はおよそ4億5000年前
08:15気温の急激な低下と海面下降によって85%の種が絶滅
08:21その後新たな生物が生まれました
08:242回目は火山の大噴火と海中の酸素減少によってほとんどの海洋生物が絶滅しました
08:323回目は大規模な火山活動や温室効果ガス急増のため
08:394回目は小惑星の衝突が原因との説もあります
08:455回目は6000万年前
08:48隕石が地球に衝突し地震や津波が起きます
08:52空は曇り気温が著しく低下
08:56恐竜はこの時他の多くの種と共に姿を消しました
09:03映画ジュラシックパークのように恐竜をよみがえらせることはできるのでしょうか
09:09長い年月でDNAが失われているためおそらく不可能でしょう
09:14恐竜に比べればマンモスの絶滅は4000年前と比較的最近です
09:21サイのように保存された細胞はありませんが
09:25復活させることは可能でしょうか
09:28ドイツシュツットガルトの自然史博物館
09:32マンモスは人気の展示物です
09:35マンモス復活の構想は何十年も前からありましたが
09:39遺伝子もそれを複製する技術もなかったため
09:43実現は不可能でした
09:45しかしそれが変わりつつあります
09:52シベリアの永久凍土から保存状態の良い標本が次々と発見され
09:59その組織や骨、血液からマンモスのDNAの再構築が可能になったのです
10:09脱絶滅を掲げる民間企業
10:13アメリカダラスのコロッサルバイオサイエンシズ
10:162021年から最新技術を使って絶滅種の復活に取り組み
10:2260人以上の科学者が研究に携わっています
10:27投資家から集めた資本金は2億2500万ドルに及び
10:37CIAの資金で運営される企業も出資しています
10:44会社のウェブサイトには
10:46地球をより健全な状態に戻すことを目指すとあります
10:51現代の遺伝子工学を使って絶滅種をよみがえらせ
10:55歴史を変えようとしているのです
11:00設立したのは科学者のジョージ・チャーチと
11:03企業家のベン・ラム
11:06人類のせいで絶滅した象徴的な動物を復活させることは
11:11我々の過去の罪を償うことにもなると捉えています
11:16先住民や政府などと連携して
11:19復活させた動物を野生に戻し
11:22かつての生態系を復元します
11:25その過程で
11:26新しい形で
11:28種の保存に応用できる技術を開発したいと考えています
11:32コロッサルシャが特に力を入れているのが
11:35マンモスの復活
11:37最も近い種であるアジアゾウは
11:40生息地の減少から個体数が減っているからです
11:43そこでアジアゾウがより寒い地域でも生息できるようにするため
11:49マンモスのDNAを活用するというのです
11:52マンモスのDNAに着目した理由は
11:56寒さに非常に強かったからです
12:00マイナス40度の環境で何ヶ月も生きられました
12:04アジアゾウを寒冷地で生息できるようにするためには
12:08マンモスのDNAはとても貴重な材料なのです
12:14アジアゾウのDNAの配列は
12:18マンモスと99.6%一致しています
12:22残りの0.4%を
12:25新しい技術で補おうとしているのです
12:27アジアゾウの受精卵のDNAから
12:32遺伝子のハサミ、クリスパーという技術を用いて
12:35特定の遺伝子の一部を取り除きます
12:39そして、人工的に再構築したマンモスのDNAから
12:44フサフサの毛や厚い脂肪に関係する遺伝子を取り出し
12:47アジアゾウの受精卵のDNAに組み込みます
12:52電気的な刺激を与えると
12:55遺伝子操作された受精卵は肺に成長
12:59それを代理母のゾウの子宮で育てます
13:03生まれた子どもはマンモスのように寒さに強く
13:07おそらく見た目も似ているだろうといいます
13:10ただし、マンモスもゾウも妊娠期間は22ヶ月です
13:14このようなハイブリッド子を作るには長い期間がかかり
13:19代理母のゾウもたくさん必要となります
13:23さまざまな理由からゾウの体外で発育させたいと考えています
13:30つまり、肺の段階から生まれるまで
13:34人工子宮で育てるのです
13:372017年、アメリカの研究チームは
13:40バイオバッグというビニール袋のような人工子宮で
13:45早産の子羊を発育させることに成功しました
13:48それ以来、人工子宮の開発が盛んに行われています
13:53北極全域にマンモスの子どもを生み出す施設を建設します
14:05つまり、子どもは生息地のすぐ近くで生まれるので
14:10輸送する必要はありません
14:13ドアから外に出れば、そこが生息地なんです
14:15チャーチによれば、マンモスを放す予定地はシベリア
14:22かつてマンモスがいた草原に草食動物の姿はなく
14:26今では木々が茂っています
14:292018年、ジョージ・チャーチは
14:32ロシアの生物学者、セルゲイ・ジモフを訪ねました
14:35ジモフは長い年月をかけて、シベリアの広大な土地に
14:41バイソンやジャコウウシ、野生の馬を定着させる研究を行っています
14:46その理由は、こうした草食動物は
14:50食料を求めて雪を掘り返すからです
14:54地面を覆う雪の層が取り除かれると
14:57冷気が土に届くため、永久凍土は保護されます
15:01土が溶けた時に、空気中に放出される
15:05二酸化炭素の量を抑制できるのです
15:08つまり、マンモスを気候変動対策に利用する試みですが
15:13何千頭ものマンモスを実験室で生み出さなければなりません
15:17マンモスを復活させることは、自然環境にとっていいことなのでしょうか
15:23ドイツ・フランクフルトのゼンケンベルク自然博物館では
15:27カトリーヌ・ブーニングゲーゼが
15:31動植物とその生息地の関係を研究しています
15:35マンモスの復活は無謀な実験です
15:38マンモスには寄生虫がいるし、植物にも影響を与えます
15:42他の種との生存競争もあります
15:45理由なれば、巨大な生物を
15:48現状の複雑なネットワークに組み込むわけですから
15:51あらゆることに影響を及ぼしますし
15:53何が起こるか予測できません
15:56南アフリカでは、絶滅したシマウマの一種
16:01クワッガの再生計画が進行中です
16:04その他にも、旅行バトをよみがえらせる案もあります
16:08ドードーについても、復活計画があります
16:11人が持ち込んだネズミによって絶滅したドードーをホロサル社がよみがえらせようとしています
16:18絶滅種を生き返らせる話に人々は魅了されます
16:24失ったものを取り戻して守ることができるんですからね
16:28でも生物多様性を守るという観点からいえば
16:32絶滅種の復活は、数ある問題のうちのほんの少しを解決するにすぎません
16:39研究によると、毎年最大5万8000種が絶滅しています
16:45その度に、絶滅種の遺伝子が失われるだけでなく
16:50生息域の生態系が崩れるのです
16:52生物種が多いほど、生態系は安定します
17:00つまり、種を一つ失うたびに
17:03生命のネットワークは弱まり、不確実になっていきます
17:07私たちが恩恵を受けている生態系が機能しているかを把握したり
17:12維持したりすることが、ますます難しくなるのです
17:16絶滅種を生き返らせ、自然界に組み込むという願望は
17:20およそ100年前からありました
17:23ドイツでは、1920年代に始まった
17:27交配によって絶滅種をよみがえらせる取り組みが
17:30今も続けられています
17:32電気柵に囲まれた場所に、ある大型動物の群れが暮らしています
17:38大型とはいえ、300ヘクタール以上ある土地で
17:44群れを見つけるのは簡単ではありません
17:47野生に近い状態で暮らし
17:48森や堤木地帯に隠れています
17:52この牛は、遺伝的にオーロックスに近づくよう交配されました
18:01オーロックスは、家畜の牛の祖先です
18:06乱獲によって、17世紀に絶滅しました
18:09第一次世界大戦後、ドイツの動物学者、ヘック兄弟は
18:15様々な品種の牛を交配し、オーロックスに似た動物を作ろうとしました
18:20現在、ドイツの生物学者たちは、ヘック兄弟が始めた牛の交配を引き継いでいます
18:26保護区は、この牛の群れが草を食べるので、木で覆い尽くされることはありません
18:38そのおかげで、多くの希少な動植物の生息地が作り出されています
18:45形と機能には相関性があると考えています
18:50ですから、オーロックスの姿に似た牛はオーロックスと同じように行動し、同様の影響を生息地に与えるのです
18:58野生の祖先の遺伝子を見つけ、交配するには、長い時間がかかります
19:05遺伝子操作のように、すぐに結果を出せるわけではありません
19:10有名なラスコウ洞窟の壁画です
19:14生き生きしたオーロックスが描かれています
19:17首や角の形が分かります
19:20これはヘック兄弟が交配した牛です
19:23私たちはこれをもとに交配を重ねていますが、オーロックスの特徴が十分に出ていません
19:31例えば、スペインの闘牛はオーロックスより小さいですが、体型が似ていて、前向きに生えた湾曲した角もあります
19:40大きさで言えば、世界で最も体高が高い牛、キアニーナ種
19:45また、スペインのサヤゲサ種はオーロックスと同じ長い足を持っています
19:50これらを組み合わせて交配したら、いつかオーロックスの体型ができるかもしれません
19:57現時点でこの牛はトーラスと呼ばれています
20:02生物学者たちが交配させる牛を選ぶとき、相性の良さに重きを置きます
20:10気性が激しい牛は交配には使われません
20:14オーロックスを完全に取り戻すのは無理でしょう
20:20交配では気性が荒いという特徴は再現できないかもしれません
20:25でも、どうしようもありません
20:27一度失ったものは帰ってこないのです
20:30この群れが、柵の外で暮らすことはありません
20:35人口密度の高い国で、牛を自然に放すのは危険です
20:41現代のヨーロッパに、大型種が生息できる場所はほとんどありません
20:47北イタリアのクレモナ郊外
20:52北シロサイの卵子が運ばれてきた研究施設です
20:57国際プロジェクトバイオレスキューに加わっているアバンテア研究所は
21:02馬の交配で名高い施設です
21:05優れた家畜を作るための遺伝情報の組み合わせを探っています
21:09実は馬とサイは分類上、近い関係にあり
21:14ハイの発育もよく似ています
21:17ケニアで採取した北シロサイの卵子がここに送られたのはそのためです
21:24しかし、家畜以外を扱うのは新たな試みです
21:29サイのハイが育つのに必要な条件を
21:35テストを重ねて見極めていかなければなりません
21:40卵細胞によっては、特定の物質に耐性がない可能性もあります
21:47そうした細かい測定が、良い結果を生むのです
21:52馬と比べると、北シロサイから採取した卵子の数は少ない上
21:58全てが輸送や様々な研究工程を生き延びるとは限りません
22:03受精に備えて卵子は一定の温度で管理されます
22:14ケニアで卵子の採取に立ち会った生命倫理学者のドゥモリ
22:19チームが彼女と作った評価システムは、フィールドと研究所内の両方でのリスクを見極め
22:25工程の安全性とクオリティを守ることを目的としています
22:31ここでは北シロサイだけでなく、生息数が比較的多い南シロサイのハイも作っています
22:42まずは南シロサイのハイで移植の実験をするためです
22:46冷凍してあったオスの精子を解凍し、卵子に注入します
22:56受精卵は不卵器の中で細胞分裂を繰り返します
23:02受精卵は不卵器の中で細胞分裂を繰り返します
23:068日後、分裂は中断されます
23:15ハイは全てケニアで移植するために冷凍保存されました
23:21肺はすべてケニアで移植するために冷凍保存されました。
23:41そして肺はオルペジェタ自然保護区の南シロサイに移植されます。
23:47いきるだけ自然な方法で妊娠させるのです。
23:57代理母となるメスとオスのサイが選ばれました。
24:01オスがメスを刺激すると妊娠の準備ができているかどうかが分かります。
24:07ただしこのオスは虚勢されているため代理母が妊娠することはありません。
24:17交尾が行われたら6日以内に研究室で作った肺をメスに移植します。
24:292023年9月、連絡を受けたバイオレスキューの研究者たちは大急ぎで準備を整えました。
24:43麻酔で眠ったメスのサイをすぐさま強い日ざしから守ります。
24:53ヒルデブラントのチームが過去に動物園や保護区で試みたサイの肺移植は13回。
25:032回に終わっています。
25:07移植の方法も装置も独自に開発したものです。
25:13肺を移植する際には注射針を誤って太い血管に刺さないよう最新の注意が必要です。
25:23移植は成功。ここから先は見守るしかありません。
25:31ケニアやドイツ、イタリアで研究者たちが連携して活動するバイオレスキューは今、アメリカダラスからも支援を受けています。
25:42マンモス復活を目指すコロッサル社です。
25:46彼らは外部の科学者とのパートナーシップも探っていて、2023年からはライプニッツ動物園野生動物研究所と協力関係にあります。
25:58コロッサルバイオサイエンシスのような企業は、私たちが必要としている先端技術を提供してくれます。
26:07彼らはマンモスの復活計画に取り組むだけでなく、北シロサイのプロジェクトも支援しているので、私たちは高度で複雑な技術を使うことができます。
26:22この会社が注目しているのは、生殖生物学の分野の経験です。
26:28我々は2億2500万ドルの資金を集めました。
26:33開発した技術には人間の医療に応用できるものもあります。
26:38それについては収益化を図っていきます。
26:42コロッサル社は急成長を遂げ、今や評価額17億8000万ドルの巨大ハイテク企業です。
26:55ドイツの大学都市チュービンゲンでは、生物学者のウタ・イーザが絶滅種の復活がもたらす影響を調査しています。
27:08お金を儲けること、それ自体は非難すべきことではないと思います。
27:14でも誰が何のために資金を出しているのでしょうか。
27:18お金はもっと必要なところに使われるべきです。
27:23これまで環境団体は、保護区を守るために大金を投じてきました。
27:29絶滅種の復活プロジェクトに多額の投資を行う先進的なアプローチは、
27:35現存する種を保護するという従来の考え方と相入れません。
27:40すべての種が復活できるという期待により、
27:44生物の多様性を守ろうという努力がなされなくなる危険性があります。
27:49保護活動に携わる人員や資金が減らされ、
27:52絶滅したらまた作ればいいよ、というようになるかもしれません。
27:57簡単に修復できるから、人類が間違いを犯したとしても心配はいらない、
28:07ということにはならないと思います。
28:10種の復活には莫大な費用がかかりますから。
28:14再生するには、膨大な費用と時間、最先端の科学技術が必要なんです。
28:21こうしたことは特例であるべきです。
28:25現に、北シロサイを絶滅から救うプロジェクトには、
28:30ドイツの税金が投じられています。
28:32自然保護への資金援助は限られているのです。
28:36我々は、保護活動から資金を奪ってはいません。
28:41我々の活動で、新たな資金が投入されているんです。
28:45脱絶滅のために開発された技術や装置は、
28:48世界中の政府やNPO、NGOに無料で提供するので、
28:53私たちの技術を絶滅の危機にある種の救済に役立てられます。
28:59絶滅種の復活、それはどんな意味を持つのでしょうか。
29:12絶滅した100万種もの生物をよみがえらせることはほぼ不可能です。
29:17今、失われつつある種の多くは、存在すら知られていません。
29:22つまり、脱絶滅計画でどの種を再生させるかの判断は、
29:27人々の興味をそそるかどうかで決まります。
29:31コロッサル社は、2023年以来、オーストラリアの研究者も支援しています。
29:38彼らが復活させようとしているのは、
29:45虎のような縞模様があり、狼に似た頭を持つ動物。
29:50かつてのオーストラリア最大の肉食有体類、フクロウオオカミです。
29:56鋭い歯でカンガルーや野生のウサギを捕らえ、
30:00タスマニアタイガーとも呼ばれていました。
30:03これは、動物園にいた最後の一頭の映像です。
30:14タスマニアに羊が持ち込まれてから、
30:17農場主たちはフクロウオオカミを目の敵にし、
30:20容赦なく駆除しました。
30:241936年9月7日、この最後の一頭が死に絶滅しました。
30:33動物園で死んだフクロウオオカミの標本は、
30:38メルボルンの博物館に保管されています。
30:41学芸員のケビン・ローは、この分野の研究を続けています。
30:45フクロウオオカミは、オーストラリアで絶滅した生物の象徴です。
30:50オーストラリアは、絶滅した哺乳類の数が世界で最も多い大陸で、
30:55ヨーロッパ人が入植して以来、30種が失われました。
30:59フクロウオオカミは、オーストラリアの生態系にとって重要な捕食者でした。
31:06生態系を維持するには、頂点にいる捕食者は欠かせません。
31:11メルボルン大学の遺伝学者、アンドリュー・パスクは、
31:16フクロウオオカミを復活させたいと考えています。
31:21パスクは、コロッサル社から、多額の資金と最新技術の提供を受けることができました。
31:28メルボルン博物館には、フクロウオオカミの標本が30体以上あり、
31:42これは世界最大のコレクションです。
31:49この標本から、無吉で状態のいいDNAが見つかり、
31:53フクロウオオカミのゲノム全体が解読できることを期待しています。
31:58そうなれば、この動物をよみがえらせるために必要な遺伝子の設計図ができるのです。
32:08世界中でわずか13体。
32:10アルコール保存された胎児が存在するため、希望はあります。
32:15ここでは、そのうちの3体を保管しています。
32:19パスクは、胎児の標本からもサンプルを採取します。
32:26標本番号C5757の胎児は、100年以上前にメスの子宮から取り出されたものです。
32:38保存状態はよく、パスクの計画に使える有力候補です。
32:44何もないところから生命は作れません。
32:49絶滅種の復活には、生きた細胞が必要です。
32:53まずは、絶滅した動物のDNA配列をすべて解読しなければなりません。
32:59解読できたら、それを生きている動物すべてと比較し、
33:03絶滅種に最も近い種を探し出すのです。
33:07C5757番の胎児から採取したDNAが解読され、
33:142018年、初めてフクロオオカミの遺伝子設計図の再構築に成功。
33:19メルボルン大学では、遺伝的に近い動物の探索が始まりました。
33:26遺伝子の探索は、ベルリンでも同様に行われています。
33:33ライプニッツ動物園野生動物研究所では、
33:37キタシロサイの遺伝的多様性を高めようとしています。
33:44博物館から運び込んだ頭の骨をMRIで解析し、
33:49骨密度が最も高い部分を探ります。
33:56頭の骨には生きた組織がなくても、遺伝子の設計図は存在します。
34:01ヒルデブラントが探しているのは、特定の遺伝子です。
34:06多くのキタシロサイは、体がとても大きく健康でした。
34:14そういう個体が密漁者に殺され、
34:17発育が遅れた個体だけが残りました。
34:20大きく強い個体は、病気から体を守る特別な遺伝子を持っていましたが、
34:26その遺伝子が乱獲によって失われてしまったのです。
34:30その遺伝子を見つけ出して、それを持つ細胞を培養すれば、
34:34復活させようとしている個体群をより健康なものにできます。
34:41メルボルン大学で進展がありました。
34:44フクロウオオカミに最も近い種が見つかったのです。
34:50それは、スミントプシスと呼ばれるネズミに似た小型の幽体類。
34:564000万年前に、フクロウオオカミと共通の祖先から分かれた動物です。
35:02再構築されたフクロウオオカミのDNA設計図と比較したところ、
35:06驚くほど似ていました。
35:09スミントプシスは、さまざまな点でこのプロジェクトに向いています。
35:18野生に比較的多く生息していて、妊娠期間が短い。
35:23繁殖力が強く、飼育も簡単です。
35:32遺伝子編集技術を用いて、フクロウオオカミの特徴となる遺伝子を、
35:37スミントプシスの遺伝子に組み込みます。
35:40さらに、手のひらに乗るサイズのこの肉食動物は、
35:44フクロウオオカミの胎児を宿す代理母にも適しています。
35:50スミントプシスとフクロウオオカミでは、大きさが明らかに違います。
35:54でも、都合がいいことに、有体類はどれも生まれたときはものすごく小さいんです。
36:00つまり、ネズミほどの大きさでも、フクロウオオカミの子供を妊娠・出産できるのです。
36:08スミントプシス、コアラ、カンガルーなど、有体類の胎児は、
36:13子宮の中ではほぼ同じ、米粒ほどの大きさです。
36:20有体類の子供は、未熟な状態で生まれます。
36:25妊娠期間が終わると、子供は山道から這い出て、
36:29母親のお腹にある袋まで登っていきます。
36:33中に入ると乳首に吸い付き、袋の中で守られながら育ちます。
36:39フクロウオオカミも同じです。
36:44これはカンガルーの子供。
36:47有体類の子供は成長が早いので、
36:49フクロウオオカミの子供も、すぐに小さな代理母には育てられない大きさになります。
36:56そのため、人の手で育てる方法に切り替えることになります。
37:01フクロウオオカミを特徴付ける遺伝子を見つけるため、胎児の骨格と臓器をスキャンします。
37:10パスクが着目したのは、長い鼻、顎、しっかりした後ろ足です。
37:20さらにパスクは、犬と遺伝的に近いディンゴに獲物を飼るための重要な遺伝子領域があることを突き止めました。
37:29フクロウオオカミのDNAを復元する決め手となるかもしれません。
37:39研究者たちは、フクロウオオカミの遺伝子を組み込んだスミントプシスの肺を観察し、
37:45その遺伝子がどのような変化を引き起こすのかを調べています。
37:52まだ解明できていないことはたくさんありますが、
37:56発育過程について多くの知見が得られました。
38:00計画では10年以内にフクロウオオカミが生まれる予定です。
38:05遺伝子の編集をすべて行えば、最終的には完全なフクロウオオカミができます。
38:11かつて存在していた野生のフクロウオオカミとの違いは個体差、つまりあなたと私の違い程度です。
38:19ですから、その時点で生態系に戻すことができるフクロウオオカミができたと言えると思います。
38:25DNAが復元されたとしても、フクロウオオカミが捕食者として野生で生き残れるかどうかは分かりません。
38:36人工的に復活させた動物を自然環境に放すのは正しいことなのでしょうか。
38:47これまで生物の生き死にを決めるのは神の領域で、人はそれを恐れてきました。
38:54でも今や人間が生き死にの決定を下すことの是非が問われているのです。
39:02人間は都合よく環境を変え、動物を絶滅させてまるで神のように振る舞ってきました。
39:09今私たちは過去の過ちを正そうとしているんです。
39:17私たちが遊びでやっていると批判するのはとても傲慢です。
39:22私たちはエンジニアの仕事をしているんです。
39:26人類が知性を持って以来ずっとしてきたことです。
39:29つまり過去を研究し計画を立て、新しいものを作る。
39:34やるべきことをやっているだけです。
39:38尊重、異形の念、敬意、謙遜といったものが完全に失われています。
39:45自然が作ったものは自分たちにも作れるというのは、人間の思い上がりです。
39:51人間は自然界の一部に過ぎず、思い通りにコントロールはできない。
39:56それを認めるべきです。
39:59私たちはパンドラの箱を開けようとしているのでしょうか。
40:05神のまね事などしていません新しい生物を作っているわけではないんです博物館にある標本や冷凍保存された組織など失われた動物の使える部分を利用してそこから子孫を作っているんです。
40:24胎外受精によってサイの受精卵を作っているヒルデブラントはベルリンにあるマックス・デルブリュック分子医学センターとも連携しています。
40:37ここでは幹細胞の研究が行われています。
40:42ベラ・ゼビザは健康な卵細胞を得ようと、動物園で死んだ北白菜12頭の皮膚組織を培養しました。
40:54理屈はこうです。
40:56サイの組織や血液から生きた細胞を採取します。
41:00複数の遺伝子を組み合わせた遺伝子カクテルを利用して培養した幹細胞は、万能細胞として体のどの部分の細胞にも分化することが可能です。
41:15特殊なタンパク質を加えて培養すれば、精子や卵細胞に成長するはずです。
41:27皮膚細胞から成熟した卵細胞を作り出すことができたら、冷凍保存した死んだオスの精子と受精させます。
41:38そしてできた肺を近縁種の南白菜の代理母に移植すれば、やがて子供が生まれます。
41:48人工的に作られた卵細胞は、サイの集団の遺伝的多様性を高めることに利用できる上、
41:55現存する2頭の北白菜の卵子だけに頼らずに済むのが利点だといいます。
42:01しかし卵細胞が人工的に作られる過程で、そのDNAが改変されないよう注意する必要があります。
42:10肝細胞を作った後、徹底した品質管理を行い、そこにあってはいけないものが混ざっていないか確認しています。
42:18健康なサイが欲しいのであって、人為的に改変された遺伝子は作りたくはありません。
42:24それは私の目指すところではありません。
42:29今のところ達成できたのは卵子の元となる細胞を作る段階までです。
42:35これが卵細胞に成長するには卵巣組織に囲まれて栄養を吸収しなければなりません。
42:42しかし卵巣組織をサイから採取することはできないので、栄養を与える細胞を作る必要があります。
42:52幹細胞技術を使わなければいけないということは、他の生殖方法はすべて手遅れだという意味です。
43:00従来の種の保存方法は失敗したということです。
43:04本当はこの方法を使いたくありませんが、サイを助ける最後のチャンスです。
43:09同じように絶滅の危機にある他の種を助けるモデルになると考えています。
43:14サイはほとんどの種が絶滅に瀕しているため、時間との戦いです。
43:21幹細胞の研究を率いるセバスチャン・ディーケは、実験室の作業を自動化し、有望な結果をより早く得られるようにしました。
43:36万能細胞について、まだ多くのことが試験段階です。
43:43目標に近づくため、適切な温度や処理方法、そして適切な培養方法が模索されています。
43:53長期的な目標は、この方法で健康なサイの群れを作り出すことです。
44:03ケニアでは南シロサイの代理母の妊娠が確認されました。
44:10移植された肺は、2ヶ月間順調に成長していました。
44:17しかし、2023年11月、生息地が豪雨に見舞われ、土壌から細菌が流れ出しました。
44:25代理母は、細菌に感染して命を落とし、胎児も死亡。
44:32代理母の子宮で2ヶ月余り生きていた胎児はオスでした。
44:39体長は6.4センチになっていました。
44:46代理母の子宮で2ヶ月余り生きていた胎児はオスでした。
44:53体長は6.4センチになっていました。
44:55組織検査でも、超音波検査でも、胎児は非常に健康であったことが証明されました。
45:17代理母が細菌に感染しなければ、胎児が16ヶ月の妊娠期間を経て生まれた可能性は95%だといいます。
45:31代理母も細菌に感染するまでは健康で、一連の作業による影響はありませんでした。
45:38この結果は、2024年1月に記者会見で世界に発表され、胎児の3Dモデルも披露されました。
45:51次は、実際に北シロサイの肺を南シロサイの代理母に移植する計画です。
46:08世界の第一線で活躍する研究者たちは、種の保全のための科学的な枠組みづくりに取り組んでいます。
46:25絶滅死を復活させるために必要な技術や装置はすでに揃っています。
46:31魔法や新たな技術を使わなくても実現可能なんです。
46:36技術は急速に改良されつつあり、莫大な資金があれば大きな成果を出すことも可能です。
46:43現代の環境に順応できる絶滅種はたくさんいると思います。
46:48ただし、生態系に被害を与えないよう慎重に行うべきです。
46:53一方で、絶滅死を復活させてよいのか議論は続いています。
46:59100万もの種が絶滅の危機に瀕しています。
47:03そうした種を救うために何ができるのか。
47:07先端技術を利用する方法は善意あふれる魅力的な解決策に見えますが、実際はあまり役に立ちません。
47:17バイオテクノロジーで自然を守れるのでしょうか。
47:22自然保護に貢献しているとは思いません。
47:26特定の失われた種を復活させるよりも、自然を破壊する原因と向き合い、改善に取り組むべきです。
47:33自然保護と絶滅死の復活、その両立は不可能なのでしょうか。
47:40すでに壊れてしまったものは修復します。
47:44でも私たちはこの先、修復の必要がないようにしていくべきなんです。
47:50バイオテクノロジーで北シロサイの子供が生まれたとしても、生きていくための生息地が必要です。
48:00さらに絶滅した種を復活させるのか、本格的な議論をすべき時が迫っています。
48:07アーメン
48:17アーメン
48:22Transcription by CastingWords
48:52BS世界のドキュメンタリー
49:001960年代スペイン
49:02彗星のごとく現れたフラメンコダンサー
49:05ラ・シングラ
49:06貧しい老いたちを乗り越え
49:11類稀なテクニックとミステリアスな表現力で
49:14ヨーロッパ中の人々を魅了
49:16しかし人気の絶頂で突然と姿を消した
49:20彼女の身に何が起きたのか
49:52BS19日土曜夜7時30分
49:56ハードの身を使う体を IDUSして
49:58チェック、иф SkinSkin
50:00サリアスの試生
50:02cuántériqueはだし
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50:08舞台歌療省が大きいった
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