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03:38天主殿少し聞いてくださいますかまあ俺でいいならそれは聞きますがよかった実は私には兄がいるのですがいやいやちょっと待ってくださいバカ言っちゃいけませんよ直嗣様三浦家の嫡男兄なんているわけがないでしょうにですが私には確かに兄がいたのですお風さんあはい私の兄上三浦さだなが
04:07すみませんああやはり誰も兄のことを知らない父や母でさえ私は頭がおかしくなってしまったのでしょうか
04:26なおつぐさまそんなに思い詰めないでくだせほらそばも伸びちまいますぜあの三浦様差し出がましいようですがよい人を紹介しましょうかよい人ですかはいもしかすれば三浦様のお力になってくださるかもしれませんああ確かに
04:55いえねそういう不思議な話に好んで首を突っ込むお客さんがいるんですよ
05:03それは陰陽寺のような方なのでしょうか
05:08あやかしを払うことをなりわいとしているとか
05:13ただの浪人ですどうにもその人は会議を解決してくれるらしいんですよ もちろん金は取りますが刀一本で鬼を打つ
05:28すご腕の剣士だそうで
05:31少しとっつきにくそうに見えますがいい方ですよ
05:35あれでかわいいところもありますし
05:38毎日うちでかけそばばっかり食ってます
05:42あうら噂をすれば
05:45いらっしゃいだな
05:47いらっしゃいませ
05:48賭けを一つ
05:50そんなにうちのかけそばが気に入ったんですかい?だな?
06:12いや別に相変わらずですねもう少しこう気遣い的なものああこの店のそばは普通だがそれなりに気に入っているでしょうねうんお茶入れますね随分手慣れてきたな当然ですよ私も日々成長していますからそういう仁也君はどうですか?
06:41秋は木星の頃だ甘い濃密な香りを漂わせこれからの季節に美しい花を咲かせるはいそのとおりです覚えてみるとなかなか面白いな自然と道端の花にも目が行くでしょとりあえず春夏秋冬の花は終わりましたから今度は花にまつわる節話を教えしますね話の途中で
07:11失礼しますあっすみません私は三浦直継と申しますあのいきなりぶしつけですがあなたは不思議な話や鬼が出るという噂にばかり首を突っ込んでいると聞いたのですが確かに鬼を撃つのが私のなりわいだ
07:41それは少し違うえっ私ができるのは鬼を撃つこと
07:47怪異の原因が鬼でなければ私の良分ではない
07:52すまないそうですか
07:57三浦さま旦那すいませんが直継様の力になってやってくれませんかねえ?
08:22あのお方はバカな兄貴がいなくなったせいで大層思い悩んでるみたいなんでさ私からもお願いします大切な人を失ってとても不安定になっているのだと思います
08:37お願いします分かった普段世話になっている分の恩返しだ随分と彼に入れ込んでいるのだな数少ない常連ですしねえ
08:56あんた何やってるの
09:03あんた何やってるの
09:08すみませんお茶と磯部餅をお願いします
09:14はーい
09:21お餅好きなの
09:27ああ
09:30お待たせいたしました
09:32ありがとう
09:33ふたしぶりに食べると美味しいわな
09:41そういえば禅師殿との衆議院はまだなのか
09:45いきなり何を
09:50確かもう16頃合いだろ
09:53そもそも禅師とってのはありえないわよ
09:57そうなのか
09:58十三殿としても彼となら安心できると思うが
10:03禅師は
10:06そうね兄みたいなものだから
10:10それにお父様は見合い話こそ持ってくるけど
10:14嫁入り自体は私の好きにしていいって言ってくれてるの
10:18店のことを考えたら大棚や武家にとつがせた方がいいのにね
10:24そういうあんたは初代を持たないの
10:29定職を持たん浪人にとつむような物好きは少ないだろう
10:34そう
10:35それもそうね
10:39でもそろそろ真剣に考えないといけない年よね
10:44あんたっていくつなの
10:46三十一だ
10:48うそー
10:49禅師より上
10:50吹けない太刀とは言ってたけど
10:53なんか秘訣でもあったりするの
10:56さてな
10:57感情は置いておくぞ
10:59もう行くの
11:01仕事だ
11:02また鬼
11:04ねえ
11:09なんで鬼退治なんてしてるの
11:12あんたくらい剣の腕があったらもっと違う仕事もあると思うんだけど
11:17私にもよくわからん
11:22なぜこんなことをしているのか
11:24なによそれ
11:26だがあえて言うならば
11:29たぶん私にはこれしかないのだろう
11:33そう
11:34なんかちょっと安心した
11:37
11:38
11:40陣夜って普段冷静だし浮世離れしたところがあったから
11:45正直よくわかんない奴だと思ってた
11:48でも悩んだり弱音吐いたりもするのね
11:52あんたも普通の人だったんだ
11:55
11:57
11:58夏だ
11:59夏でいいわよ
12:01いい加減付き合いも長いんだし
12:04いつまでもどのじゃ他人行儀でしょ
12:07うん
12:08私もそろそろ店に戻ろうかな
12:11えへへ
12:14あんまり悩みすぎないようにね
12:16眉間のシワが取れなくなるわよ
12:19ありもり
12:30また今日も行くのですか
12:33何度も言っているでしょう
12:38三浦家の嫡男はあなたです
12:41兄などいません
12:42兄上は確かにいました
12:44兄を探すのに
12:46遊郭や貧民屈にまで足を踏み入れているそうですね
12:51義をおもんじ
12:53勇をなし
12:54仁を忘れず
12:55礼を欠かさず
12:56宙を誓った徳川のために
12:58血の一滴までも流しきるのが武士の在り方
13:01それが何ですか
13:03あなたと言ったら
13:04兄が見つかれば出入りをやめます
13:07失礼します
13:08いい加減になさい
13:10有盛
13:11なあ有盛
13:30なあ有盛
13:38家があって人がいるんじゃない
13:40人がいて家があるんだ
13:42はあ
13:44家のため
13:45抗議のために
13:46その考えは理解できる
13:48しかし
13:49だからといって
13:51己の意思を曲げることはしたくない
13:54兄上
13:59あなたはどこに
14:01探しに行くのか
14:04あなたは
14:06神谷
14:08死がない浪人だ
14:10こたびの会
14:12やはり首を突っ込ませてもらうことにした
14:14えっ
14:16ただし
14:17必ず解決できるとは約束できない
14:20そこは納得してくれ
14:22ええ
14:23構いません
14:24私の言葉を信じてくださる
14:26それだけでも救われた思いです
14:29さて
14:30早速で悪いが
14:32三浦殿の兄が消える前の様子を教えてほしい
14:35わかりました
14:37では屋敷へ
14:38
14:42ならば
14:48そういえば
14:49神谷殿は浪人とおっしゃっていましたね
14:52ああ
14:53腰のものは数打ちではないとお見受けしますが
14:56元は武家の出ですか
14:59いや
15:00違う
15:01
15:02以前私が住んでいた土地は山あいにあるたたらばだったのだが
15:08対等を許された役があった
15:11ああ
15:12私もまたその役に尽き公義より直々に対等を許されている
15:18なるほど
15:20もしや故郷は角野ですか
15:23よくわかったな
15:25いえ
15:26たたらばというのとその鉄の鞘を見てよもやと思いまして
15:31お恥ずかしながら
15:33光塚なもので刀剣の類を見聞するのが趣味なのですよ
15:37角野の刀は飾り気のない鉄作りの鞘が特徴と聞きますが
15:43神谷殿のものは鞘の作りが丁寧ですね
15:46これはもともと集落の屋代に報じられていた御神塔だ
15:52ゆえあって譲り受けた
15:54ほう
15:55名はなんと
15:56やらいという
15:57やらい
15:58なるほど
15:59やらいですか
16:00角野のたちは鬼をも裂くという
16:03ついなのことを鬼やらいと言いますがそこから来ているのか
16:07あるいはその刀自体に鬼を払ったという伝説でもあるのか
16:11そういう説話はないのですか
16:13聞いたことはないな
16:15集落の長は嘘かまことか千年の時を経ても朽ち果てぬ冷凍とは言っていたが
16:22それはそれは
16:23ところで抜いてみせてくれたりは
16:25セン
16:26あっ
16:27すみません
16:28さすがに話がそれすぎました
16:30構わない
16:31だがそろそろ始めてくれ
16:34では
16:35すでにご存じの通り私は兄三浦貞長を探しております
16:41しかしいくら探しても兄はおらずそれどころか誰も兄を知らないのです
16:47誰も知らない
16:49はい
16:50父も母も貞長などという男は知らない
16:54三浦家の嫡男は私だと
16:56他におぼろげに記憶しているものもいましたが結局は似たような答えが返ってきます
17:03兄をはっきりと覚えているのは私以外いないのです
17:07ねえ旦那方よ何でここでそんな重要そうな話を密談をするのは人のあまり来ない場所でって相場が決まってると思うんですがこの店は人などめったに来ないだろう結構辛辣ですね旦那それは冗談として2人とも随分と三浦殿を心配していたようだからなああだからここに連れてきたえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえい
17:37ただ仁也くんが冗談を言えるようになったのがうれしくてまあいい三浦殿の兄が消えたのはいつの頃のことだ今年の春先1月の終わり頃でしょうか特に変わった様子はなかったのですが気づけばふっとあいえ確か兄はいなくなる少し前に言っていました娘に会いに行くと
18:04それともう一つ兄の部屋に花がありました花花には疎いもので名前はわからないのですが強い香りがしました細い葉の黄色い中心に白い花弁のついた小さな花です
18:21兄は花をめでるような人ではありませんから妙に気になりまして見つけたのはいつ頃だ兄がいなくなった直後に私の他は部屋に立ち寄りませんので
18:33去り際に兄自身が置いたのではないかとその花はまだ置いてあるか何かの証になるかと枯れる前に保管してあります
18:42三浦殿悪いが明日三浦殿の屋敷に案内してもらいたい
18:50えっと
18:58あっ
19:02お、おじいや
19:03夏ども
19:05
19:07いらっしゃいませ、じんやくん
19:11竹そばを
19:12はい、竹一長
19:14¿Qué es eso?
19:44¿Qué es eso?
20:14¿Qué es eso?
20:46¿Qué es eso?
20:48¿Qué es eso?
20:50¿Qué?
20:52¿Qué es eso?
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