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00:00皆さんお集まりいただきありがとうございます今日ですね私たちは共に文学の世界へ冒険をするひとときの運営共同体ですそしてそのリーダーをお呼びいたしましょう津田敦弘さんです
00:30me
00:33me
00:42てどうせよ
00:45
00:51はてをこれ 持っています
00:56What's that?
00:58What's that?
01:00What's that?
01:02What's that?
01:04What's that?
01:06What's that?
01:08There are so many people here.
01:10Hello.
01:12Today, I'm going to read the book with a book.
01:16I'm going to read the book with a book.
01:20Are you going to read the book?
01:22津田さんが文学と向き合うそして皆さんには津田敦弘さんとともに今回津田敦弘氏とともに時を過ごすゲストが3人。
01:40まずは俳優大友可憐。
01:441999年生まれ。
01:47映画やドラマで繊細な役柄を多く演じてきた。
01:52そして8人組コントユニットダウ9万の吉原れな現役大学生ながら舞台や映像作品で存在感を放つ人物ださらに専門家も国文学者斉藤雅雄日本の近代文学を全般に研究するエキスパートだそして一般の参加者50名の皆さんです。
02:20すごい。
02:23いろんな年代の方がおられて。
02:29ちなみに室内暑くないですか?大丈夫ですか?ちょっと暑いですか?ここでずっと読むから。
02:36大丈夫ですか皆さん?暑い寒い大丈夫ですか?
02:39ちょっともうちょっと涼しくしましょうか。
02:42ちょっと涼しく。
02:44恥の多い生涯を送ってきました。
02:46何何何何?
02:48自分には人間の生活というものが見当つかないのです。
03:24忖度のない感想を語り合う。
03:27途中まで正直、自分にももしかしてあることかなと思ったんですけど、結局自分もすごい投影してるんやろうし。
03:39よりなんか寄り添ってあげたいと思ってしまっていました。
03:42だからすごい面白い。みんなで読む面白さがここにあるなって思いました。
03:48本当はなんか色々あったのをグッとこらえて、あえてさらっと描いてるみたいな。
03:54めっちゃ嫌なやつですよ。
03:58これを見てるやつ。
04:01これ誰やんの?
04:03このあと津田敦弘を通じてあなたも人間失格がきっと読みたくなる。
04:13津田敦弘と文学今回津田敦弘氏が収録中にすべて読み切る作品は太宰治人間失格1948年の作品で太宰は書き終えた後に心中捨て身の問題作だ。
04:42人間失格は全5部で構成されている。まずは物語の始まりであるはしがきを読んでいく。
04:55最後に一つだけ、この文学の縁の中では決して嘘を言わないでください。
05:03文学の縁って言うんですか?
05:05文学の縁では面白くない、わからないなど正直におっしゃってください。
05:11なるほど嘘ついてカッコつけたりせず。
05:13なしで。
05:14感じたままに言っていいんですね。
05:15感じたままに。
05:16忖度なしで。
05:17なるほど。
05:18はい。
05:19始め!
05:20いやもうなんかテストみたいな。
05:22テスト。
05:23なんか言わないよ。こういうテストみたいな感じの。
05:25なんか言わないよ。
06:02私はその男の写真を産業を見たことがある。
06:08橋垣は3枚の写真をもとに養蔵という人物のことが第三者の私の目線で語られる。
06:191枚目の写真は幼年時代。
06:21なんて嫌な子供だとすこぶる不快そうにつぶやき毛虫でも払いのける時のような手つきでその写真を放り投げるかもしれない。
06:3510歳前後と思われる様相の笑顔は嫌な気味悪さが感じられる。
06:432枚目は学生時代。
06:56よく見ているとやはりこの美貌の学生にもどこか怪談じみた気味悪いものが感じられてくるのである。
07:05恐ろしいほどの美貌を持つ青年であるが1から10まで作り物のような微笑を浮かべている。
07:173枚目は年齢の分からない白髪姿。
07:20どんな表情もないいわば座って火鉢に両手をかざしながら自然に死んでいるようなまことに忌まわしい不吉な匂いのする写真であった。
07:36ただもう不愉快。イライラしてつい目を背けたくなる顔。
07:45そして写真を見た人物は言う。
07:49私はこれまでこんな不思議な男の顔を見たことがやはり一度もなかった。
07:56チラホラー読めたかなという方が多いと思うんですけども、津田さんいかがでしょうか?
08:10もう、めっちゃ嫌なやつですよ。
08:14この橋垣描いてる人。
08:16これを見てるやつ。
08:18これ誰やねん。
08:19ブロカスのしかも内容も子供の写真に向かって猿の笑顔だって言ったり。
08:26確かに。
08:28あと最後の3枚目の写真もその顔にとにかく特徴がなくて、目を離した隙にそいつの顔を忘れちゃって、
08:38パッと目を開いて確認しても、こんな顔だったのか思い出したというような喜びさえないっていう、
08:46これが太宰節みたいなものなのかなとか。
08:50これは一人の人の少年期と青年期と、みたいなことなんですかね。
08:58そうですね。やっぱり一人の人間の少年時代と学生時代と、
09:03いつの頃からかわからない時期のような、つながってはいるっていう感じですね。
09:09山陽の写真は、あくまで私が見た印象の断片。
09:14物語は写真の彼の人生ではなく、彼を見た他人の印象から始まります。
09:23この後待ってるのは、その男の話なのか、その男を見てるこっちの人の話なのか、
09:30なんかどういう視点で話がこれから展開していくのかっていうのに興味を持ちました。
09:35あとは、一葉目で女に囲まれてる理由とか、
09:40二葉目では塔の椅子に座って白いハンケチをつけられるぐらいの人なのに、
09:45三葉目でボロボロの場所にいるっていうのがどうしてなのかって、
09:49この恥の多い生涯を誰が送っているのかをちょっと見ていきたくなる、
09:55そんな橋が好きでした。
09:56全部読んだみたいな感じにします。
10:00今のに全部集約されてるような気がしたんですけど。
10:03かなり本質のところをついてらっしゃるなという。
10:06いや、めちゃつくやん、本質。
10:08そもそもこの橋がきって何なんですか?
10:12すごく大事な質問です。
10:14嬉しい先生。
10:17なんかこう、前書き?
10:19なんかだと、読む前に置いてあるんだなっていう感じなんですけど、
10:23橋がきっていう言い方だと、前に置いてあるのか、
10:26なんかこう、途中にあるのかっていうところで、
10:29少し位置づけがよくわからないものとして、
10:33ポンと置かれてるんですね。
10:35これから読み進めるときにも、
10:37なんかちょっとこう、最初に、
10:39あ、3枚の写真なんかあったけどなぁというようなことを、
10:44なんとなく頭の片隅に置いておいて、
10:47読んでいくべきものとして置かれているっていう感じですね。
10:51へぇー。
10:53この作品の橋がきは、物語の入り口に置かれた、
10:58どこか人ごとの語り。
11:01誰かのことを語っているはずなのに、
11:04その語り口に、語り手自身の気配がにじんでくる。
11:09それは、この物語を書いた、
11:12太宰治自身の気配なのか。
11:15最初の文章がですね、この作品の印象的な下りの一つでもありますので、
11:21津田敦弘さんにご朗読いただいて、
11:24僕が?
11:24はい、そこからスタートしたいと思います。
11:26急に言うなよ、動機もちょっと言ったらええのに、読みますよ。
11:32はい。
11:32第一の手記、恥の多い生涯を送ってきました。
11:39すいません、もう一回お願いします。
11:40ありがとうございました。
11:41ありがとうございました。
12:14恥の多い生涯を送ってきました
12:17写真の男、洋蔵の目線で語られる自らの幼少期
12:25金持ちの家に生まれ、何不自由なく過ごしていたが
12:37考えれば考えるほど自分にはわからなくなり
12:43自分一人全く変わっているような不安と恐怖に襲われるばかりなのです
12:49自分は隣人とほとんど会話ができません
12:55何をどう言ったらいいのかわからないのです
12:59他人を理解できず、人間の生活というものが何もわからない
13:07そんな中、洋蔵は自分一人だけが全く変わっているような不安と恐怖に襲われ
13:18他者とつながるために同家を演じることを覚える
13:26また一方、自分は下男や下女たちを洋室に集めて
13:34下男の一人にめちゃくちゃにピアノのキーを叩かせ
13:38踊ってみせて、皆を大笑いさせました
13:42撮影して、その写真ができたのを見ると
13:46自分の腰布の合わせ目から小さいおちんぽが見えていたので
13:51これがまた渦中の大笑いでした
13:54放送事故や
13:58大丈夫か
14:01自分にとって
14:05これまた意外の成功というべきものだったかもしれません
14:10偽りの笑顔を作り
14:16家ではひょうきんなことをして家族を笑わせた
14:20そしてある日、洋蔵は
14:25人間の怖さが体に染み付くような出来事を経験します
14:30その頃、すでに自分は
14:35女中や下男から悲しいことを教えられ
14:38犯されていました
14:39幼少の者に対してそのようなことを行うのは
14:44人間の行いうる犯罪の中で
14:47最も醜悪で過盗で
14:50残酷な犯罪だと
14:52自分は今では思っています
14:54しかし
14:56自分は忍びました
14:58笑われることで守ってきた心の奥に笑うことではごまかせない何かが静かに沈殿していく養蔵の道家はここからさらに深くなっていきます
15:13ではそろそろ区切りたいと思います
15:19津田さん、いかがでしたか?ここまで
15:22あの、養蔵っていうんですか?
15:24はい
15:25なんか、めっちゃ変なやつやな
15:29やっぱり昔の笑かし方なんで
15:35これで笑うか?やっぱり芸人目線で見ちゃうんで
15:38こんなんで笑うんかいって思ったんですけども
15:41なんか、ピアノ弾いて
15:43なんか
15:46めっちゃその合わせから
15:48おちんぽこつって
15:50そこで笑ってた
15:52それは俺もめちゃくちゃ笑うと思うんですよ
15:54でもこの後の
15:56これがまた意外の成功と言うべきだ
15:58だから本人が望んでるところの笑いじゃないところ
16:01あっ、これでも笑うんかっていうのが
16:03この子がすごい
16:06あの、人を笑かすことにすごい研究で
16:09なんでここまでして笑かしたい?っていう
16:12あー、なるほど
16:13そう、それがなんかちょっと
16:16でも気づいてんの?
16:18あっ、あっ、そうなんや
16:20おちんぽはやっぱ笑うんやんっていう
16:21ちょっとなんか
16:22冷静に
16:23なんやこいつと思いました
16:24なんやねん、こいつ
16:28好き
16:29え?おちんぽって言っていいんですか?
16:35作品ですからね
16:38いや面白かった面白かった
16:44先生も
16:46面白いですよね
16:47いや面白いなってまいりましたけど
16:49こんな言葉が出てくるなんて
16:51僕思わなくあったんでびっくりしましたよ
16:52最初ドッキリから思ったんですよ
16:54みんなに書いてあります
16:57笑わせることで自分の居場所を作っていった洋蔵
17:03その理由とは一体何なのだろうか?
17:09変なやつやと思ったんですけど
17:10いや本当おっしゃる通りだなと思います
17:14なんか基本的には人間のこと
17:17他の人が何考えてんのかよく分からへんっていうのが
17:20大前提にあって
17:22俺だけ一人変なんちゃうっていう風に思ってて
17:25ってことはなんかされたらどうしようみたいな感じの恐怖感があるから
17:30とりあえず笑かしとけと
17:31笑かしといたら
17:33みんな何もせえへんのちゃう俺には
17:35なるほど
17:35っていうところが
17:36なんでこんな笑いにこだわってんね
17:39っていうところの根拠になるんやと思います
17:41津田さんは変なやつやって
17:44様相のことをおっしゃってたと思うんですけど
17:46私をすごく共感してしまって
17:48え?
17:50え?
17:52別に見えませんけど見せません
17:54見えてラッキーとは思いませんけど
17:56でも何でしょう
17:58学生時代を通ってきた
18:00私はそういう学生時代もあったよな
18:04クラスの中にいるみんなにどうやって馴染めるか
18:08みんな何考えてるか分からないけど
18:11みんなに習うにはどうしたらいいのか
18:13その中で何かひどいことをされたり
18:17自分が同型ピエロになっていたとしても
18:20自分の感情よりも周りをキョロキョロしてしまう
18:24洋蔵の気持ちは結構
18:26確かに確かに
18:28第一の手記は太宰治が人間の視線の中で自分を失う恐怖を
18:40生と恥という一番根本的な形で描き
18:44後に様相がたどる人生の予兆として描かれている
18:51時代を感じるなってちょっと思っていて
19:00あと何か1ページ目を何か読むと
19:07一文がすごく長くて
19:10今の作品とはちょっとまた読み方が違うのかなってちょっと思ったりしてます
19:16確かに何か読みにくいよね
19:19当時の人はこの文章をパンって出されてスムーズに読めるものなんですか
19:25多分そこはもう全然スムーズに
19:27むしろ読みやすいと思った人もたくさんいるかもしれないです
19:31読む感覚で読めるんだ
19:33ねえ違うんですね
19:34どうですか
19:36そうですね
19:36前に読んだ時に本当に忘れてたんですけど
19:41この性的なことって結構重要で
19:45これが人格を作り上げていったのかなっていうのがあって
19:49これがあるないでまた変わってくるのかなという風に思っていたんですけど
19:53でもやはり結構多くの心の中で
19:56波打ち際と言ってもいいぐらいに
20:00喋ってましたよ今
20:00海に近い岸辺に
20:02黒い木肌の山桜の
20:05かなり大きいのが20本以上の立ち並び
20:09新学年が始まると
20:14海に近い岸辺に
20:29真っ黒い木肌の山桜の
20:32かなり大きいのが20本以上も立ち並び
20:36新学年が始まると
20:38山桜は褐色の粘っこいような若葉とともに
20:43青い海を背景にして
20:45その絢爛たる花を開き
20:48やがて花吹雪の時には
20:52花びらがおびただしく海に散り込み
20:55海面を散りばめて漂い
20:57波に乗せられ再び波打ち際に打ち返される
21:01その桜の砂浜が
21:04そのまま校庭として使用せられている
21:08東北のある中学校に
21:10自分は受験勉強もろくにしなかったのに
21:14どうやら無事に入学できました
21:16まるで夢のような
21:20鮮やかな描写から始まる第二の手記
21:23東北のある中学校に入学した洋蔵は
21:28親戚の家に預けられた
21:30ここでも彼は同家を演じ続ける
21:37しかし
21:40体操の授業中
21:43いつものように同家を演じ
21:46鉄棒を失敗してみせたところ
21:48同じクラスの竹市に
21:57見透かされたように言われてしまった
22:00しかも
22:03様相が少し下に見ていた生徒に
22:07自分は震撼しました
22:19わざと失敗したということを
22:24人もあろうに竹市に見破られるとは
22:27全く思いもかけないことでした
22:29わーっと叫んで
22:32発狂しそうな気配を
22:34必死の力で抑えました
22:38焦った洋蔵は秘密をばらされないよう
22:41竹市を手懐けようとするが
22:44その際にある予言めいた言葉をかけられる
22:49お前はきっと女に惚れられるよ
22:54洋蔵は女を不可解で油断のならぬ生き物だと思っていた
23:02その一方で多くの女が自分の同家を好むことを知っていた
23:09また竹市との親交をきっかけに
23:13洋蔵は絵を描くことに目覚めていく
23:17お前は偉い絵描きになる
23:24またしても竹市に予言めいた言葉をかけられた洋蔵は
23:31画家になるという夢を胸に秘め
23:34東京の高校へ進学する
23:36しかし絵の勉強のために通っていた塾で6つ上の堀木正男と出会い生活は大きく変わっていく堀木から酒タバコ女遊び政治活動を教わりやがて学校へも行かなくなり絵の勉強もやめてしまった津田さんいかがでしょうか?
24:0157ページの3行目まで
24:063行目まではい何とか
24:08では津田さんここまでいかがでしたか?
24:14最初竹市に見透かされたところはドッキッとしましたよね
24:25なんか今までそれを隠して自分がこの同型を演じているのに自分がバカにしているタイプにそれを見つけられてその子を取り入れようとしているところとか
24:39なんか結局ずっと自分がないというか
24:44でもちょっとそういうところもあるじゃないですか正直
24:46それをよくこんな文章で書いてるなっていうのはちょっとちょっと怖くなってきたというか
24:53自分にもあるとこが
24:56ちょっとだけなんですけどあったんで
24:59なんか
25:00こんだけ人の心理描写を書けるんやもってちょっと怖くなってきたというか
25:08竹内のやっぱりこうバカにしている存在
25:12なんか本当はおかしいんですよね
25:15なんか最初の我々呼んできた第一の手記からすると
25:18もうみんな怖かったって話やったのに
25:20あ、そっか
25:21でもちょっとこいついけんなみたいな感じの
25:24そういう人にガッと見抜かれてっていうところですね
25:29ちょっと終わろうと思いましたけどね
25:31わざわざ
25:34言い方のあれはそれぞれ多分頭の中で
25:37大友さんはどんな
25:39大友さん
25:39私はもうゼロの顔で竹内は言ってるんだと思いました
25:42わざわざって
25:44ああそっち
25:45あのひそやかに誰にも聞こえないように
25:47僕だけは気づいてるよの方かなって思って
25:52怖いって思いました
25:54わざわざ
25:57たった4文字のこの言葉をあなたはどう受け取るだろうか
26:01読む人の数だけその違いが浮かび上がってくるのかもしれない
26:07じゃああのさ13歳の子どう読んでられへんねんけど
26:13どう読んでる
26:15やっぱ僕は中学生なんで気持ちも分かったり
26:19似てるところとかもあって
26:22ちょっと憧れるっていう気持ちもあります
26:26えぇー
26:28あっ
26:29なるほど
26:29憧れてあかんと思うな
26:32絶対もっと明るい方が減って
26:34自分も結構
26:37何かその場その場のコミュニティで
26:40ちょうど良い立ち回りみたいなのを使い分けてる部分があったので
26:45この妖像の気持ちすごい分かって
26:48別の自分のその
26:50人格を見られた時に
26:52死にたくなるみたいなのは
26:54結構
26:55よくあることなので
26:57授業参加の時とかもすごい
26:59友達と親に見せる顔は全然違ったりするから
27:04それを見られるなどが増やすみたいなとか
27:07結構あったので
27:08なるほど
27:09親にその違う姿を見られたりとかするのも
27:14いやその俳優にとって最も演じにくい場所は
27:17故郷の劇場であってみたいな
27:19めちゃくちゃ分かると思って
27:21その自分もコントとか演劇する時
27:24親に見せるのがちょっと一番恥ずかしい
27:26なんかやっぱ家の顔と外に向ける顔
27:29友達に向ける顔ってやっぱ全然違うから
27:32友達に向ける顔を家でやんなきゃいけないって
27:36結構本当にハードだったんだろうなって
27:39思いましたね
27:40確かにね
27:41すごい分かりますよね
27:43なんか近ければ近いほど見せたくないというか
27:46恥ずかしいですね
27:47恥ずかしいもんね
27:48私は中学生の時から仕事してて
27:51母が現場にいたような感じなので
27:53なるほど
27:53逆にこうホッとするっていう感じはありますけど
27:57でも確かに
27:59与蔵が一人暮らしというか
28:02家を離れて下宿してる時の方が
28:04ホッとするっていうのは
28:05それもあるよなって思いながら読みましたね
28:08なるほど
28:08人はみな誰かに見られている自分と
28:12本当の自分の間で揺れ動く
28:15そして最も近しい存在にこそ見せたくない
28:20仮面の下がある
28:21ダザイはそんな養蔵の姿に
28:26分かる自分もそうかもしれないと思わせる
28:29鏡のような装置をそっと忍ばせた
28:32それは誰にも打ち明けられない内側の声を
28:37作品にひそかに入れ込む仕掛けだったのかもしれない
28:41その頃
29:01その頃自分に特別の行為を寄せている女が
29:053人いました
29:07東京で生活する養蔵に思いを寄せる
29:14複数の女性が
29:161人目は下宿先の娘
29:202人目は女子高等師範の文化生の同志
29:243人目は銀座のカフェで働く恒子
29:28そして養蔵は相手が寄婚者であることを知りながら
29:35恒子と一夜限りの関係を持つ
29:38養蔵にとって彼女は
29:42そばにいることに心配のいらない存在であり
29:45恒子の前では同家を演じる気持ちも起こらなかった
29:50しかし2人の関係を知らない堀木は
29:58養蔵の目の前で恒子に強引にキスをしようとするが
30:02やめたと堀木は口をゆがめて言い
30:10さすがの俺もこんな貧乏くさい女には
30:13並行しきったように腕組みして
30:17恒子をじろじろ眺め苦笑するのでした
30:20その時養蔵は生まれて初めて恋の心が動くのを自覚し
30:33恒子を愛おしく思ったのだった
30:35そして
30:36目が覚めたら枕元に恒子が座っていました
30:41それから女も休んで夜明け方
30:47女の口から死という言葉が初めて出て
30:52とてもこの上こらえて生きていけそうもなく
30:56その人の提案に気軽に同意しました
30:59その後人としての営みに疲れた2人は鎌倉の海へ受水
31:09恒子は死に養蔵だけが助かった
31:17では津田さんいかがでしょうか
31:30すげえ変な人かなと思ったんですけど
31:34養蔵
31:35ほんまにだんだんだんだん
31:39自分自身を見ているような
31:42ちょっと怖さを感じてきてますけどね
31:44なんかあの経験を経ていって
31:47養蔵が大人になっていってるなっていう感じはありましたね
31:53ただ
31:53恒子ちゃんのことを
31:56自殺までした相手のことを
31:59最後さらっと死にましたって書いてるとか
32:02なんかそこは
32:04なんか本当にサイコパスで
32:07それぐらいに書き留めて
32:08それぐらいに収めてるのか
32:10もしくは本当はめちゃくちゃ思ってたのに
32:14カッコつけるために
32:15手記って自分の手元に残るものだから
32:18カッコつけるためだけに
32:21本当はなんか色々あったのをグッとこらえて
32:24あえてサラッと書いてるみたいな
32:26そういう情けなさみたいな感じで
32:29結構イライラしました
32:30めっちゃカッコつけてる可能性あるよね
32:34私は養蔵嫌な男っていうよりも
32:37養蔵はこの時期でも苦しいな
32:40辛いなって思いながらずっと読んでいて
32:43その女が死にましたの一文に関して
32:47今までいろんな意見ありましたけど
32:49私が思ったのは
32:50もう悲しくて思い出せないんだなっていう印象
32:54それからのことは苦しくて書けないっていう
32:58養蔵の弱さを見た気がして
33:00よりなんか寄り添ってあげたいと思ってしまっていました
33:04え?
33:05だからすごい面白い
33:07みんなで言うも面白さがここにあるなって思いました
33:11そういう風にもとれんにゃ
33:13なんか女って書く時と
33:17常子って書く時とあったり
33:19そうなんですよね
33:20死んだ時は女って書くし
33:21そうなんです
33:21なんかその辺りで
33:24ちょっとした使い分けみたいなものが
33:27あるのかもしれないなっていうような
33:29読み方もできるのかなとは思います
33:31なんで?
33:34竹市の予言の
33:35一つはあたり
33:37仕返し
33:38一つは外れました
33:40仕返しやった
33:41惚れられという
33:42名誉でない予言の方は当たりましたが
33:46この演出やめてくれよ
33:47きっと
33:47ドッキリするよ
33:48偉い絵描きになるという
33:50祝福の予言は
33:52外れました
34:11受水自殺で高校から追放された
34:15洋蔵は
34:15父親に頼まれた身元保証人
34:19平目の家に居候するも
34:21折り合いが悪く家を出た
34:24そして掘り木の下で知り合った
34:31静子の家に身を寄せる
34:34雑誌社で働く静子の紹介で漫画を描き始める洋蔵
34:44お前は偉い絵描きになる
34:49竹一の予言は外れたが
34:52おかげで幾分か金を稼ぎ
34:54生活ができるようになった
34:57そんな時
34:58掘り木は養蔵にある忠告をする
35:02女道楽もこの辺でよすんだね
35:06これ以上は世間が許さないからな
35:10世間というのは君じゃないか
35:16そんな言葉が出そうになるが
35:19なんとかそれを飲み込んだ
35:22しかし胸の内では
35:25それは世間が許さない
35:29世間じゃない
35:30あなたが許さないのでしょう
35:33そんなことをすると
35:35世間からひどい目に遭うぞ
35:37世間じゃない
35:38あなたでしょう
35:40今に世間から葬られる
35:43世間じゃない
35:44葬るのはあなたでしょう
35:46その時以来自分は世間とは個人じゃないかという思想をめいたものを持つようになったのです
35:56やがて養蔵は自分がこの2人の間に入って今に2人をめちゃくちゃにするのだと考えるようになり静子のもとを去ったのだった
36:09読み終わりましたか
36:15読み終わりましたはい
36:16ちょっとどんどんどんどん酒に逃げたりとかね
36:20なんか自分をいじめて
36:21ゆっくり死に向かっているじゃないですか
36:25ちょっと早く人間っぽくはなってきているような気がするんですよ
36:29途中に比べたら
36:30まだなんか
36:32人の気持ちもちょっと分かるようになってきてるんちゃうかなと思っているんですけど
36:37どうなの
36:39なんか僕の中でちょっとだけ
36:41本当に人間っぽくはなってきてるなっていう感じしたんですけど
36:47どうですか先生
36:48こうパーンとドロップアウトしていく感じかと思いきや
36:52なんかこう少なくとも対外的にはまずまずの生活というか
36:57そうですよね悪くないですよね
36:58なんかこう二流かもしれないけど漫画家として一応連載も持ってて
37:03まあまあ好評だし
37:05女の人次々変わっているようなところはありますけど
37:08なんかそこでこうトラブル
37:10なんかもっとねこんな次々とか変わってたら
37:13いろんなトラブル起こってもいいのに
37:15なんか割とこう皆さんそれを許しているようなところもあるしっていうので
37:21彼がなんか悩んでいる以外はあまりこうトラブルなく
37:26まあまあ慣れている
37:29でもそこに満足できない
37:31そうですよね
37:33何をもって満足するんやろうか
37:37大前提としてこの人ものすごい恵まれている人
37:40そうなんですね
37:41最初の方で憧れっていうようなことをおっしゃったのもすごく分かっていて
37:45本人が望むような画家にはなれなかったかもしれないけど
37:49漫画家としてまあまあ人気ないわけじゃないみたいな感じで
37:53本当はいろんなものを持っているような人だからこそ
37:58こうなんか同時にうまく成り立たなくなってきているようなところがあって
38:03第一の手記は人間のこと分からんっていう話じゃなかったっけみたいな
38:09順風満帆な人生を送ることで逆に何か満足ができない洋蔵現代社会にも通じる悩みだがさらに第三の手記では現代のSNS社会に通じるような記述が
38:39まさにそれである
38:40世間というのは個人じゃないのかっていうのはすごく今にも通じるような気がするんですよ
38:48世間の意見というよりも個人の意見の方が尊重されちゃう部分もあるじゃないですか
38:54怖さですよねそれが世間とされちゃうとどうかなと思うんですけど
39:01この時代でこれ言うてるっていうのは鋭いのか預言者なのかっていうくらいちょっと怖さを感じましたけど
39:09小田さんがよく新幹線の中のおっさんに何やあいつみたいな
39:14あれはどういう感情なんですか
39:16俺ですか
39:16太宰と一緒ですよ
39:18本当ですか
39:20俺なんかすっごい太宰さんの気持ちが手に取るように分かってきました
39:25あの子が少年が今どういう風に変わってきたのかどうここまで読んで
39:34やっぱ結構その主人公というか男の人に結構変化が出てきたんじゃないか
39:41そうやな
39:42あってやっぱこれからまたどう進んでいくのか
39:48そうやね終盤やけどねここから
39:51津田さんちょっと光があの最初雪だったんですけど今日
39:55お前はお父さんのねやっぱ反射
39:59あすいません
40:00上の
40:02堀木と自分
40:04最初の子やん
40:08互いに軽蔑しながら付き合い
40:10そうして互いに自らをくだらなくしていく
40:13それがこの世のいわゆる交友というものの姿とするなら
40:18自分と堀木と間からもまさしく交友に違いありませんでした
40:23ご視聴ありがとうございました
40:53津田敦弘と文学
40:56静子の元を去った後スタンドバーのマダムの元に身を寄せていた様相だったが
41:05煙草屋さんの娘のよし子を内縁の妻にし
41:092人で暮らし始める
41:12ようやく平和な日々を手に入れたかに見えた妖相だったが
41:17ある時
41:18よし子が出入りの商人に侵されてしまう
41:22妖相はあまりのショックで精神を病み
41:27よし子が隠していた睡眠薬で自殺を図る
41:32なんとか一命は取り留めたものの酒と薬に溺れ
41:38どん底へと転がり落ちていく様相
41:41その後精神の均衡を失い病院へと収容された
41:47今にここから出ても自分はやっぱり狂人
41:54いや灰人という刻印を額に打たれることでしょう
41:58人間失格
42:00もはや自分は完全に人間でなくなりました
42:05第三の手記はこう締めくくられる
42:10今は自分には幸福も不幸もありません
42:15ただ一切は過ぎていきます
42:18自分が今まで阿鼻教官で生きてきた
42:21いわゆる人間の世界において
42:23たった一つ真理らしく思われたのはそれだけでした
42:27ただ一切は過ぎていきます
42:30自分は今年27になります
42:35白髪がめっきり増えたので
42:38大抵の人から40以上に見られます
42:41後書きの冒頭はこう綴られている
42:59この手記を書き綴った狂人を
43:03私は直接には知らない
43:06再び箸書きで登場した
43:12第三者の私の目線から語られる
43:15ある時男はスタンドバーのマダムから
43:24養蔵が3冊のノートにつづった手記と
43:273枚の写真を見せられる
43:29この人はまだ生きているのですか
43:34マダムも写真の男がどうなったかは知らず
43:39生死についても分からないという
43:41そしてマダムは最後に養蔵について
43:46こう語るのだった
43:48私たちの知っているようちゃんはとても素直でよく気が利いてあれでお酒さえ飲まなければいいえ飲んでも神様みたいないい子でした
44:04では一度こちらで切らせていただきます
44:07皆さんお疲れ様でした
44:08お疲れ様でした
44:09津田さん
44:18はい
44:18人間失格いかがだったでしょうか
44:22どうやろうなんて言ったんやから
44:23ほんま途中までめっちゃ
44:24俺もう途中まで
44:25おおすげえ
44:27友達これ俺は最後のこれなんかもっとなんかすごい深いなんか気持ちになるんかと思って意外となんかなんやねこいつみたいな感じの方にちょっと気持ちがいっちゃった気がするんですよ
44:46なんかお前深いことをやってそうでお前なんか意外とお前なんかただ単に地堕落のやつやったんかいみたいな気もせんでもなかったですよね
44:55最後なんかどんな悲劇がこう待ってるのかなみたいな気がするのに
45:01意外となんかこう最後例えばこの農病院の扉がバタンと閉まるところで手記が終わるのであれば
45:10ああこれで人間失格かと思うんですけどちょっとエピローグっぽいものがついていて
45:17だからこうそのあたりでこうなんかこう解釈できひんところで終え方されたなっていうところは
45:23しっきりしない
45:24はいでそこで後書きが効いてくるのかなという風に思うんですけど
45:28なるほどなるほど
45:28後書きは津田さんいかがですか
45:30後書きはあの小説これが太宰のような気がする
45:35少しなんかやっぱりここにも太宰なんか洋蔵にもですけど
45:39この最後の私にも太宰が入ってて
45:43なんか側の太宰と中の太宰みたいな感じがちょっとしたんですけどね
45:48だからこそ最初のあの橋書きのところのあのあそこも自己嫌悪みたいな
45:53なーるほどね
45:55だからあそこまでブロックス言うんだ
45:57なるほど
45:59結局自分をすごい投影してるんやろうし
46:05それをなんか
46:06自分を俯瞰で見てるとかもあるし
46:10その自分自身を書いてるとかもあるやろうし
46:13それをまた小説という中でちょっと人の目を借りて書いてるっていうのもあるし
46:19なんかややっこしい人やなっていう感じしますけどね
46:24この太宰さんっていうのが
46:26やっぱそのドラマチックに終わらないあたりに
46:30太宰さんの思う人生の淡々と乗り越えなきゃいけない
46:34意外と激しいことは起こらないよね
46:37こんな人でもっていうなんか無情みたいなものを感じ
46:41なぜこんなにたくさんの女性がいた中で
46:45京橋のバーのマダムにこの手記を託したかったのか
46:49もっと他にあの
46:51高円寺の人でもよかったし
46:54もっと序盤に会った人でもよかったはずなのに
46:56意外と京橋のバーのマダムっていうのが意外でした
47:01今の京橋のバーのマダムは
47:04やっぱり研究でもすごく考えられてるところで
47:08よく言われるところなんかだと
47:10養蔵が今読んだところのGRという薬を飲んで
47:153日間眠ってしまうところありますよね
47:17その時に目覚めたところにマダムはいて
47:20掘り機とかひらめですね
47:26いたりするじゃないですか
47:28その後養蔵が農病院に入れられるわけですけど
47:33その時にも掘り機とかもちろんいるし
47:36ひらめもいるわけですけど
47:38そこにはマダムいないんですよね
47:40つまり本当に自分の命が危うい時には
47:45駆けつけてくれてくれた人のメンバーには入ってるけど
47:49自分を騙し討ちみたいな
47:51養蔵はそう思ってるわけですけど
47:53そこで入れたチームの中にはマダムは入ってへん
47:57実際は分からないけど養蔵にとっては
48:01もしかしたらマダムは
48:02自分を病院に入れることに反対してくれたんかもな
48:07っていう風に考える可能性はあると思うんですよね
48:10だからもしかしたらこの人やったら
48:13僕のこと分かってくれるかなみたいな
48:15感じのがあるんじゃないかっていうのが言われたりします
48:18なんか後書きのところって
48:20まさに2つの考え方が
48:24まさに突きつけられるところでもあると思ったんですね
48:27私の方はこの養蔵は強靭やという風に言っていて
48:32マダムの方は神様みたいないい子やっていうので
48:36読者はどっち派っていうところを問われているところがあると思うんですね
48:43本を閉じると人間失格と書いてあるけれども
48:47果たしてあなたはこの人失格やと
48:51私と同じように思いますか
48:54それともむしろこういう人の方が正しくて
49:00他の掘り機とかの方が失格なんじゃないですかっていうような
49:06そのどっち派ですかっていうのを問われていて
49:10そこ自分のなんかこう決めないといけないというか
49:14そこになんかこの作品の力というか
49:18なんか迫ってくるようなところがあるのかなと思うので
49:22すごいっすね
49:24えぇこんな短時間で読ませなよじゃあ
49:30津田敦弘と文学
49:39一回あの太宰王様はこの小説を通して
49:47何を描きたかったと思いますか
49:50何を描きたかったか
49:51はい
49:52
49:52すぐキスする
49:59何を描きたかったか

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