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教育トランスクリプション
00:00発達障害、その支援に課題が
00:05発達障害などを早期に発見し
00:14適切な支援につなげようとする5歳児検診
00:17国は今年1月から検診の実施率を上げようと
00:23支援を本格化しています
00:25早めに知って対策が取れるなら
00:29一方で課題を指摘する声も
00:34本当に支援に結びつかない現状
00:37このまま進んでいくのは問題があると思います
00:41広がる5歳児検診
00:44どうすれば子どもたちが幸せな社会を作れるのか考えます
00:495歳児検診は
01:01自閉スペクトラム症
01:03注意欠如多動症
01:05学習障害などの発達障害を
01:07早期に発見して支援につなげることを
01:11主な目的としていて
01:12法律で実施が義務化されている
01:151歳6ヶ月や3歳児検診と異なって行うかどうかは
01:20自治体の任意となっています
01:22現在の実施率は13%ほどで
01:26国はこの1月から補助金を増額して
01:29全国の自治体での実施を目指すことを打ち出しました
01:33検診後の医療や教育なども含め
01:37各方面が連携して支援していく方針を掲げていますが
01:41現場では歓迎と戸惑い
01:44どちらの声も上がっています
01:465歳児検診を受けられていれば
01:53子どもの人生が変わったかもしれないという人がいます
01:57ご歳児検診に会ってほしかったです
02:03斉藤さんの娘は10歳の時に当時の診断で
02:11アスペルガー症候群とされました
02:133歳の頃から発誤が遅く
02:19突然パニックを起こすなど
02:21他の子どもと発達の違いを感じていました
02:25行政の機関などに相談しましたが
02:30発達がゆっくりなだけと言われ
02:33専門病院には行きませんでした
02:35小学校に入った娘は
02:41周りからからかわれるようになったといいます
02:448歳で不登校になりました
02:47とにかくお友達ができない
02:53なんで私には友達ができないのかなって
02:57言われるので
02:58いやもう答えようがなかったですね
03:00卒業文集には
03:05友達と題して
03:07当時の苦しみをつづっていました
03:09私には辛いことがいっぱいありました
03:17嫌がることをされたり
03:21いじめられたりもしました
03:23友達が心から欲しいと思っています
03:31当時斉藤さんが住む自治体には
03:395歳児検診がありませんでした
03:41もしあれば
03:44娘は違う人生を歩んでいたかもしれないと
03:47悔やんでいます
03:48あの時に診断がついててほしかったんです
03:5310歳ではなく5歳の時に
03:56ついていたら
03:57何か変わっていたんじゃないかなって
04:005歳児検診は
04:14保健師や医師が
04:15子どもと遊んだり
04:17親に普段の様子を聞き取ったりするなどして
04:20発達のチェックを行います
04:225歳児検診の研究を行っている
04:28医師の永光真一郎さんです
04:31発達障害が早期に発見されないことで
04:35いじめや不登校につながるケースがあるといいます
04:39学校に行けない
04:43あるいは友達関係がうまくいかない
04:46そういうお子さんたちが
04:47小学校の低学年もしくは高学年で来られます
04:51支援をしていくことによって
04:54それらの問題を未然に
04:56防ぐこともできるのではないかなというふうに思っています
04:59国が普及を進める5歳児検診
05:05その一方で検診後の医療体制に
05:09課題を感じる人もいます
05:11井上さんは娘が専門医の診断を受けることができず
05:19苦労したといいます
05:26井上さんは医療機関を探しました
05:49しかし子どもの発達障害を見てくれるところは少なく
05:54診察は1年後になると伝えられました
05:58別の病院で何とか診察を受けられたものの
06:05専門医ではなかったため
06:07具体的な助言をもらうことはできませんでした
06:11なぜ子どもの発達に不安を感じても
06:35医療につながることができないのか
06:37自動精神科医の矢野瑞さんは
06:46専門知識を持つ医療現場の
06:49マンパワー不足が原因だと見ています
06:51発達障害の診察や検査には時間がかかります
07:04日常生活の丁寧な聞き取りや行動の観察など
07:22問診だけで1時間以上かかることも
07:25珍しくないといいます
07:30発達障害の初診を受けるまでの待機期間は
07:33平均2.6ヶ月
07:35半年や1年以上かかる場合もあるといいます
07:39100人いたら100通りなんですよね
07:47診断名だけでは表せないものがありますので
07:51最も大切なのは診断よりも
07:55その子の状態像を丁寧に把握して
07:59医師だけではなくて
08:01行政だったり教育だったり
08:03連携して適切な支援に結びついていく
08:07受け皿が足りてない状態ですので
08:10このまま進んでいくのは問題があると思います
08:13ここからは子どもの発達障害を
08:1830年以上診察し研究してこられた
08:21医師の上尾陽子さんとお伝えしていきます
08:23よろしくお願いします
08:24この検診後の支援体制が十分でないのに
08:28国はこの検診の実施率を高めようと
08:32全ての自治体で行おうということを掲げているわけですが
08:35それで大丈夫なのかなという思いがするんですよね
08:38早期発見の目的は早く支援をスタートさせるということなので
08:45国はこの20年ぐらい
08:471歳半検診と3歳検診での発達障害の早期発見
08:52自治体それぞれに取り組んできていますし
08:56地域の中での支援ネットワークを作ってきていて
08:59だいぶ状況が変わってきているんですね
09:02じゃあ5歳はどうかというと
09:05今新たな障害で発見
09:09やっぱり信頼性を持って発見できるのは
09:111歳半3歳で
09:125歳で新たに何が分かるかというと
09:15すごく少ないかなと思うんですけれども
09:17でも5歳という時期に期待するとすれば
09:221歳半から3歳まで
09:24支援を受けてきた方の発達経過を振り返って
09:28それまでの支援のどれが良かったのかとか
09:31これからどういう支援がもっと必要かということを
09:34振り返って整理する
09:36そんな機会になれば有益かなというふうに思います
09:39就学前にその整理が一旦できれば
09:41親としても安心だと思うんですけれど
09:44現状はその支援体制十分でもないですし
09:47やはり発達障害かもしれないというふうに思った時に
09:52診察をしてもらいたくても
09:53なかなかそれが難しいという現状もあるわけです
09:55どうしたらいいでしょうか
09:57確かに全然体系が多くて届きにくいですけれども
10:02先ほどお話しあったように
10:03発達障害って受診して検査して
10:06すぐ診断できるというものではないので
10:08まず支援をスタートさせるということが大事です
10:13やっぱり相談するには
10:15その子どもの行動をよく見ている
10:18縁の先生とか
10:20縁の中には自治体から
10:22心理の先生が巡回していたりするので
10:24そちらで相談して診断に関わらず
10:28どういう支援をすればそのお子さんが落ち着いて過ごせるかということを
10:33いろいろ試して
10:34そして必要があればいいタイミングに
10:38診察を受けていただくといいかなと思います
10:40必ずしもまず診察を受けないといけないというわけではないということですね
10:45そうなんです
10:46ただ専門医の診察も重要ではある
10:48もちろんそうです
10:49専門医の診察といいますけれども
10:53診断はやっぱりチームなんですね
10:55やっぱり発達障害というのは
10:57言葉、運動、行動、いろいろな面があるので
11:01それぞれの専門家とチームの一員として
11:04発達障害に詳しい専門医ということで
11:08やはりそういうチームでの診察というのは
11:11なかなか機会がないので
11:12節目節目にして
11:14きちっと支援計画を立てるというのが大事かなと思います
11:18そしてこの支援体制に関する不安の声は
11:21学校など教育においても広がっています
11:24発達障害の子どもがいる親の会です
11:32今、一番の悩みの種は
11:37進学した学校で希望した教育が受けられるかどうか
11:41不安の声が高まっているといいます
11:44来年年長なんで
11:49もう探し始めなきゃと思って
11:51入れるかどうかっていうのが
11:55すごい心配なんですけど
11:59発達障害がある子どもたちの学びの場は
12:05通常の学級以外にもあります
12:07通常の学級に在籍しながら
12:12週に数時間別の教室で受ける通級による指導
12:16障害ごとに学級を編成した特別支援学級
12:22比較的重い障害がある子どもたちが通う
12:28特別支援学校
12:30少子化が進んでいるにもかかわらず
12:353つを合わせた特別支援教育の利用者は
12:39その認知が広がったこともあり
12:412倍に増加しています
12:43学校に行っても
13:00期待していた支援が受けられなかったケースもあります
13:08読み書きが苦手な学習障害と診断されている健太さん
13:12学校からの提案で
13:15特別支援学級で授業を受けることに
13:18黒板の字を見て
13:22ノートに字を書くまでの
13:24この距離で書けない
13:27母親は健太さんの特性に合わせ
13:31プリントの文章を読み上げてほしいなどの
13:34お願いをしました
13:35しかしこの学校では対応してもらえず
13:40勉強についていけなくなったという健太さん
13:44徐々に学校にも通えなくなり
13:48不登校も経験しました
13:50学校何がしんどかった?
13:57人の目線とか
13:58先生とかがちょっと辛かったです
14:05理解してくれる先生が少ない
14:10やっぱり発達障害ともそれぞれ違うので
14:14その子に合った支援をされているのかなというのが
14:18すごい疑問
14:19期待した教育や支援がなかなか受けられないと
14:25これ親としては不安が募る一歩だと思うんですけれど
14:28なぜ期待希望どおりにならないんでしょうか
14:32現実にマンパワーが足りないって学校現場にね
14:36ということなんですけれども
14:37すごく残念に思うのは文科省がもう2回全国調査をしていて
14:4320年前に通常学校の中で特別な支援がいるお子さんが6.5%
14:50そして令和4年には2回目の調査で8.8%いるということが
14:54もう分かっているんですね
14:55ということはどれだけの学校で先生が必要で
14:59先生だけじゃなくてサポートする専門家が必要か
15:03ということは分かるわけなので
15:05学校の設計というのをきちんと見直して
15:08どういうお子さんが支援を受けていないのか
15:11ということも検証すべきではないかなと思います
15:14今回ですね子ども家庭庁に支援体制の現状をどう捉えているか
15:18私たち聞きました
15:20するとこういった回答でした
15:22去年の3月に文部科学省や厚生労働省と連盟で
15:26地域のフォローアップ体制等を整備するよう各所に依頼をしたと
15:30保健師や心理職等に対する研修費用の補助事業を創設した
15:35地域で保健福祉医療教育の関係部署が連携して
15:40適切な支援につなげていけるように
15:42取り組みを進めていきたいという
15:44旨の回答だったんですけれど
15:46これってどういうふうに感じますか
15:47やっぱり有効な解決法というのは
15:51そもそも学校のサイズだとか先生の数だとか
15:55やはり投資がいるものなんですね
15:57支援でカバーできることってものすごく限界があるので
16:01やっぱり必要な学級設計ですね
16:06そこを根本的に見直す必要はあると思います
16:09依頼をするだけではなくてもっと具体的に示すということが必要なのではないか
16:13ではどうやって子どもたちの周りの環境を整えていけばいいのか
16:18実践例からそのヒントを探っていきます
16:21さまざまな専門家が集まることで
16:27切れ目のない支援を実現しているところがあります
16:3018年前から5歳児検診に取り組む大分県竹田市
16:41検診で発達の遅れを指摘されたり
16:46育児に不安があったりする保護者を検診後もフォローするため
16:502ヶ月ごとに相談会を開催しています
16:54相談会には小児科医だけでなく
17:01保健師や言語聴覚師、心理師、さらに教育委員会などが参加
17:08さまざまな分野の専門家が一堂に会し
17:13ワンストップでその場で必要な支援につなげられるため
17:17マンパワー不足の解消にもつながっています
17:21利用する親子もここに来るだけで
17:30子どもの特性に合わせた必要な支援を受けられます
17:34検診で発語の遅れを指摘され
17:39相談会に参加するようになったこちらの親子
17:43あれからどんな感じですか?
17:47保健師の紹介で発達支援サービスにつながり
17:59少しずつ言葉が出るようになりました
18:02相談会で教育委員会などと話し合えたことで
18:07この春から希望する通常の学級に入学することになりました
18:13本当に良かったなという家族だけではここまで支えてこれなかったと思うので
18:28修学に向けて困りを抱えないように抱えていてもうまく一緒に寄り添っていけるように
18:38ネットワークの中でその後もずっと見守っていく
18:43親が子どもをどう支えるか
18:49親の役割に注目する自治体もあります
18:53江戸川区の発達相談支援センター
19:00発達の特性で困る子や親が
19:03週に一度受けられるオーダーメイドのプログラムがあります
19:07ちょうだいで同じものを渡してもらう
19:14いい形でやってみましょうかね
19:16はい
19:17じゃあこれちょうだい
19:21ありがとう
19:21子どもの支援だけではなく
19:25親にもその手法を学んでもらうペアレントトレーニング
19:30我が子の専門家になってもらおうというものです
19:34このセンターではアプリで子どもごとに成長具合を見えるか
19:42自宅に帰ってからも取り組むことができます
19:46家でも領域をやりながら
19:51一緒に学ばせていただいているかなと思っています
19:54日々成長も感じますし
20:00できないことができるようになったり
20:04本当に楽しみで今はおります
20:08このプログラムは自治体と国の公費で
20:143歳以上は無料で利用することができます
20:18我が子の専門家になっていただく
20:23我が子に自信を持って関われて
20:26子育てが楽しいなって思っていただけるようになるっていうのは
20:30領域の一番のゴール
20:32発達の特性にかかわらず
20:38多様な子どもたちが
20:39共に学べる場にしていこうという試みもあります
20:42埼玉県にある木沢小学校の一部の授業では
20:503年前からインクルーシブ教育に取り組んでいます
20:54誰とどこでどのような教材を使って勉強するか
21:06自由に選ぶことができます
21:08普段は特別支援学級で学んでいるサトシさん
21:17コミュニケーションが苦手で
21:23自分の考えを伝えるのに時間がかかりますが
21:26自分のペースで取り組めるため
21:29意欲的に学ぶことができています
21:31子どもたちの自主性が引き出されるため
21:39思わぬ相互作用も起きるといいます
21:42この日サトシさんと一緒に勉強をし始める児童がいました
21:48多様な子どもたちが共に学び合うことで
22:16さまざまな成長につながると
22:19この学校では考えています
22:21誰一人取り残されない
22:26みんなが幸せになる学校
22:28みんなが違うのが当たり前
22:31じゃあその違うをどうやって生かしていって
22:36より良い社会を作っていけばいいのかなって
22:39考えられる人になっていくんじゃないかな
22:41さまざまな取り組みありましたけれども
22:46VTRで療育という言葉も出てきました
22:49支援が必要な子どもに対して
22:51どういうふうに関わることが重要だとお考えですか
22:53はい
22:54療育は専門家が行うもので
22:58その一人一人のお子さんに必要な目標を立てて
23:02いろんな手法があるんですけれども
23:04家庭でもできるように
23:11ペアレントトレーニングを行ったりということも
23:15ご紹介ありましたけれども
23:17専門家のサポートも必要なんですけれども
23:21社会全体でできることもいっぱいあって
23:23発達障害についてもっとみんな関心を持って
23:27サポートできることがないか
23:29家族に対してできることがないか
23:31ちょっと声をかけたりということも
23:33とても大変難しい子育てを少しはホッとする
23:37というふうに聞いています
23:40必ずしも専門家だけができることじゃなくて
23:43お友達だったり親戚だったり
23:45時期の人が少し買い物を手伝ったりとか
23:48そういう具体的なことも
23:49療育に入るということですね
23:51そうですね
23:51療育から学んだことで実践していく意味では大事ですね
23:56そしてみんなで一緒に学ぶという
23:59インクルーシブ教育の事例もありました
24:01埼玉の小学校本当に理想的だなと思いましたけれど
24:04どこの学校でもできるだろうかという気がしました
24:08そうですね
24:09インクルーシブ教育というのは
24:11一つの部屋でみんなが一緒のことをするというふうに
24:15ちょっと勘違いされやすいですけれども
24:17どこの教室であっても
24:19一人一人みんな違う多様性を尊重して
24:22一人一人のペースで教育を受けられる
24:26お互い学び合うということなので
24:28やはりそこのところがやるべきことが
24:33まだまだ日本はたくさんあるのかなと思います
24:35やはり支援が量的にも質的にも
24:39理解が不十分というところは多いかなと思います
24:42必ずしもみんなを一緒に学ばせるだけではなくて
24:45一人一人ちゃんと見てますかというところまで
24:47考えないといけない
24:48日本の教育の在り方については
24:51実は国連から勧告を受けています
24:53障害のある児童への分離された特別教育が
24:57永続している
24:58これを是正しないといけないということを
25:00言われているわけですね
25:01これは重いですね
25:02分離というのは結局特別支援学級とか
25:09特別支援学校ということでもちろん
25:13必要最小限必要かもしれませんけれども
25:16やはり一人一人の支援が確実に届いていれば
25:21分離ということは減っていくはずなんですね
25:24なので日本は分離を全くなくすということではなくて
25:30本当の意味でのインクルーシブ教育を
25:32目指していかないといけない
25:33そうですね
25:34一人一人の支援が通常学級であっても
25:37確実に届いているかということを
25:39小暮に言われているんだと思います
25:41なるほど
25:41あとはそもそもの社会がどういうふうに
25:46意識を持っていくべきかというところで
25:48発達障害というこの障害がつくこの名前
25:51ここも私はどうなのかなと思うんですけれど
25:54一人一人でどういう意識を持つことが重要でしょうか
25:57そうですね
25:57発達障害って言葉将来変わるかもしれませんけれども
26:01最近も分かっているのは
26:03生まれつきの脳の個性多様性なので
26:07普通にするために何かして
26:09治すってことではないんですね
26:11その人の個性を最大限に伸ばせるような環境づくり
26:16それが領域であったり
26:18領域でなくても社会の手助けだったりして
26:21そういう一人一人の多様性を尊重するというのが
26:27本当に発達障害のある人もない人も
26:30安心して過ごせる豊かな社会なんではないかなと思います
26:34個性なんだという意識を持つ
26:37お一人お一人にね
26:39例えば親御さんにどういう言葉をかけられるんですか
26:41やっぱりその子のペース
26:44学び
26:45どの子もみんな発達していくんですね
26:47ペースが一般的な標準と違うだけなので
26:50それを大事に
26:52そして一番集中していることが
26:54一番彼らの関心も強いことなので
26:58そこを見つけて伸ばす
26:59ご視聴ありがとうございました