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テレビトランスクリプション
00:00第1話 芸山太治
00:30芝山さんが自宅アトリエで首をつって死んでいるのを、家の人が発見しました。
00:36遺書などは残っておらず、発作的な自殺ではないかとみられています。
00:42芝山さんは昭和38年に40歳で日本洋画団にデビュー。
00:47力強い作風は海外にも広く認められ、世界的な画家として活躍していました。
00:53芝山さんの自殺の動機について、周囲の人たちは全く心当たりがないと言っており、
01:01大きな謎として波紋を投げかけそうです。
01:04ランコ、お前は昨日、芝山先生として飯食ったんだろう?
01:08はい、日曜版の特集の打ち合わせで。
01:11その時何か感じなかったのか?
01:12自殺する予感とか、そう、雰囲気とか。
01:18雰囲気。
01:26スープ。
01:27スープ?
01:28はい、ウミガメの。
01:32毎週日曜日の絵のページを楽しみにしている読者は結構いるんです。
01:36先生のように人気のある方の特集を組ませていただけることになって、編集部でも張り切っています。
01:43それは光栄です。
01:45私もできる限り協力させていただきます。
01:51メインティッシュの前のスープです。
01:54本日は非常に珍しいウミガメのスープを用意させていただきました。
01:59ほう、ウミガメか。
02:12違う。
02:15違うよ、君。
02:17これはウミガメじゃない。
02:19え?
02:19青くなった?
02:33ええ。
02:33これ、幽霊を見たみたいに。
02:36本当に、ウミガメのスープなのかね?
02:43セレベス沖で取れました。赤ウミガメと聞いておりますか?
02:47赤ウミガメ。
02:50本当に、ウミガメなんだな?
02:53お味に問題がありました。
02:56シェフを呼びますが。
02:57これが、ウミガメだったのか。
03:02どうして俺は、俺は。
03:06どうかなさったんですか?
03:08しかし、スープを飲んだために自殺したなんて。
03:14なんか理想だな。
03:16なんなんでしょうね。
03:19とにかく、世間じゃ謎の自殺だって騒いでるんだ。
03:23柴山の自殺の真相を突き止めれば、大スクープだぞ。
03:27ランコをかけてみろ。
03:28仕方の自殺の真相を突き止める。
03:58仕方の自殺の真相を突き止める。
04:03小籍先生、ちょっと待ってください。
04:05今は車よりも。
04:06一人にしてくれ、帰らってくれ。
04:09高籍先生。
04:11ブーブ!
04:17ブーブ!
04:19いつの日本の自殺の真相を突き止める。
04:21あのー
04:37あのー
04:40昨日あのレストランにいらっしゃいましたよね
04:45少しお話を聞かせていただけませんか
04:53実は私
04:54柴目先生の自殺の動機が先生の過去にあるような
04:59それもかなり古い過去
05:01何かご存知なんですね
05:05何があったんですか
05:08ウミガメですか
05:14ウミガメのスープと関係ありますか
05:19柴山さんは言いました
05:23これは違う
05:24ウミガメじゃないって
05:30あなたも何か関係があるんですか
05:32私はゆで
05:36偶然彼を30年ぶりに見かけた
05:39それだけだ
05:41何があったんです
05:43人には話せないことなんですか
05:45犯罪
05:47まさか殺人
05:49私は柴山先生が自殺する3、4時間前まで一緒にいたんです
06:00同じウミガメのスープを飲んだんです
06:02それなのにあの方はもうこの世にいない
06:04どうしてなんです
06:05私知りたいんです
06:07人ってそんな突然死ねるんですか
06:09じゃあ
06:12人って何なんです
06:14何なんだ
06:20いいところですね
06:37ねえ
06:38ずっとこちらにお住まいで
06:41ついひと月ほど前から
06:45それまではずっと
06:47コロナドの山の中で暮らしていました
06:5030年
06:5330年も
06:56海を忘れたくてね
06:58でも
07:01帰ってきてしまった
07:04あなたが忘れようとした海と
07:08柴山先生の自殺と何か関係があるんですか
07:11あるんですか
07:14イエスかノーかそれだけでも答えてください
07:24イエス
07:29海
07:30あなたと柴山先生をつなぐものは海
07:34海の好きな男たちとウミガメ
07:39あなたは漁師だった
07:43ノー
07:46じゃあ船乗り
07:48イエス
07:51ちょっと待ってください
07:52柴山先生は40の時にデビューしたんでしたよね
07:55その前はあの方も船乗りだった
07:58女
08:01船乗りだったあなたと柴山先生は
08:05一人の港の女を同時に愛してしまった
08:08その女はウミガメのスープを作って
08:10あなたたちのどちらかに飲ませた
08:12たぶんあなたに
08:13それを柴山先生が嫉妬してその女を
08:15女は関係ありません
08:17嵐
08:24嵐
08:27嵐であなたたちが乗ってた船がナンパした
08:30そしてどこかの島に流れ着いた
08:34セレベスの沖でした
08:37でもそこは無人島で食べるものがなかった
08:40何もなかった
08:42そこでウミガメを捕まえて食べたもちろんスープも作って飲んだ
08:46私はウミガメのスープは飲んだことがありません
08:49じゃあウミガメのスープを飲んだのは柴山先生だけ
08:53ノー
08:55彼は昨日初めてウミガメのスープを飲んだはずです
08:58そんなことはありません
09:00だって
09:02違う
09:03違うよ君
09:04これはウミガメじゃない
09:06どういうことなんです
09:09飲んだこともないのにどうして味が違うって
09:12船乗りだったあなたたちの船はナンパして無人島に流れ着いた
09:16そこでスープは飲んだんですね
09:18イエス
09:19でもそれはウミガメじゃなかった
09:21魚
09:22ノー
09:23じゃあ木の実
09:24例えばヤシの実とか
09:25ノー
09:26じゃあ動物
09:28ネズミとかヘビとか
09:31でもそんなもののスープと昨日のスープの味が違うからって
09:34自殺することはない
09:49じゃあ何のスープ
10:04島にたどり着いたのは
10:11あなたと柴山先生だけじゃなかった
10:15もう一人いたんですか
10:21もしかしたらその人
10:26いやー
10:28だってそんな
10:32その人は
10:33あなたたちより先に死んだ
10:45次は柴山の番だ
10:47スープは激しく
10:51死ぬのは目に見えていた
10:53だから私は
10:56アーアーアー
10:58シバ山が拒否し続けました
11:03アアーアーアーアー
11:06食べなければ死ぬと何と言っても
11:09決して口にしようとしなかった
11:12私は彼を騙してでも助けようと思った
11:19だからそれで
11:21スープを作りました
11:24あなたはそれを
11:31ウミガメのスープだと言って
11:34彼に飲ませた
11:35昨日柴山が
11:39ウミガメのスープを飲んで
11:42味が違うと言ったのはそのためです
11:46そして彼は
11:50あの日
11:52島で何を飲んだのかを知り
11:56これが
12:00柴山の自殺の真相です
12:03運命は皮肉です
12:08彼にスープを飲ませた翌日
12:12私と柴山はフィリピンの漁船に発見され助けられた
12:19あの時
12:23彼にスープを飲ませるのをもう一日我慢していたら
12:30柴山は死者なくて済んだかもしれない
12:33私一人が罪を飲ませばよかった
12:39白山先生が自殺したのはあなたの責任じゃないわ
12:46だって
12:48だって
12:49あなたがスープを飲ませなかったら
12:52彼は助けの船が来る前に死んでたかもしれないじゃないの
12:57そうよ
12:57何のスープが出されたか分からなかった彼の方が愚かなのよ
13:04そうよ
13:05それを30年も経って
13:07何のスープだったか分かって
13:10その罪の意識で死んでしまうなんてもっと愚かよ
13:13もっと愚かよ
13:15加藤さん
13:23私にこの話をしてあなた
13:28死ぬつもりだったんでしょう
13:31死んじゃダメ
13:36綺麗なことも
13:40汚いこともみんなひっくるめて人間なんだと私は思います
13:45そうよ
13:46人間は死ぬために生まれてきたんじゃない
13:50人間は生きるために作られてるのよ
13:54そうよ
14:06編集長
14:12ランコです
14:14スープが自殺に関係してるなんてとんでもない思い違いでした
14:19大スクープになると思ったんですけど
14:22ひどいガセネターで人は無駄にしちゃいました
14:24真相?
14:28さあ人間なんて分かりませんからね
14:31大したことじゃないんじゃないですか
14:33ええ
14:35いいよ天気
14:37きれいな海
14:39じゃ
14:40うん
14:44こうやって
14:52もういいよ
14:57ぺ favor
14:58ご視聴ありがとうございました